居住者組織のマウントが見え隠れ
入居一時金にしろ月額利用料にしろ、これだけ高額な費用を支払えるのはひと握りの富裕層のみ。庶民の懐事情ではどうあがいても無理だろう。したがって、超高級老人ホームはセレブたちの終の棲家ということになる。
「実際、入居者にはオーナー経営者が多い。次に弁護士や医師、大学教授などの高収入の職業の人たちや、芸能関係など著名人もいるようです」
だからといって、お金さえ持っていれば誰でも入居できるわけではない。施設によって異なるが、年齢制限が設けられており、健康であることは基本条件。そして面談による審査をクリアしなければならないのだ。
「面談では資力のほかに人となりを判断基準とし、その要素のひとつが“品格”です。共同生活には『俺が俺が』という我の強いタイプは向かないそうで、品格の善しあしによって施設に相応しい人物かどうかを見定めているのです」
面談を行うのは施設側だけではない。居住者の側でも行われているというから驚き。
「分譲型の施設でのこと。管理組合の役員による面談で入居希望者の物腰や態度を見て、自分たちとフィーリングが合うかどうかを判断していました。面談に加え、健常者が入居の条件となるため、螺旋階段を昇降してもらう運動テストまで実施。権力を持つ居住者組織がマウントをとっているような感じでした」