【入浴事故】冬は溺死リスクが増す!
「前述したとおり、冬はヒートショックで亡くなる人がとても多い。ヒートショックは気温の急激な変動により、血圧が上下に大きく変化することで、脳卒中や心筋梗塞を引き起こしてしまう健康被害のこと。
冬の寒い脱衣所から熱い湯船にいきなりつかってしまうと、寒暖差が激しいため、起こりやすくなります。お風呂場で倒れると助けが呼びにくく、発見も遅れてしまう。また、気絶したまま浴槽で溺死してしまうことも」
浴槽と、脱衣所や浴室の温度差をなくすことが対策に。湯を張る時には、浴槽のフタをせずに湯気を利用して浴室ごと暖めたり、脱衣所に簡易ヒーターを設置しよう。
「また、実感はないかもしれませんが、入浴中の身体は浴槽のお湯による水圧を受けています。その状態から急に立ち上がることで、起立性低血圧が起こり、卒倒することもあります。
浴槽から出る時は急には立ち上がらず、手すりなどにつかまりながらゆっくり立ち上がってください」
家族と同居している場合は、入浴前にひと言声がけを。溺れたり心筋梗塞で呼吸が止まった場合、一刻も早い治療が予後を左右するため、「今日はいつもより入浴時間が長い」と感じたら声をかけることも大切だ。
教えてくれたのは……冨樫正義さん●防災介助士インストラクター。サービス介助士、防災介助士、認知症介助士などを認定・運営する団体「公益財団法人日本ケアフィット共育機構」のインストラクターとして、年間50社以上の企業対象研修を担当。