呼吸や食事にも降圧効果が
加藤式呼吸法
緊張やストレスにより交感神経のスイッチが入りっぱなしになると、心拍数を上げるアドレナリンや血管を収縮させるノルアドレナリンといったホルモンの分泌が高まり、血圧が上がりやすくなってしまう。
しかしこのようなメンタルに起因する高血圧は、自律神経を整えることで改善していく。
「気力の回復や体力の増進、自律神経の調整や消化機能の改善に効果のある関元のツボを押しながら深呼吸をすれば、副交感神経が優位になり、自律神経が整って血圧が安定します。1日1回、椅子に座った状態で行いましょう。
エネルギーが集まる場所として知られる関元のツボは、へその中心から指4本分下がったところにありますよ。血液の循環が良くなりますし、ストレスや不安にも効果が期待できます。深呼吸は吸うよりも吐くことに意識を集中することがポイントです」
椅子に座ったら両手を重ねた中指が「関元」のツボに当たるようにおき、おなかをふくらませながら鼻からイキを10秒かけて吸う。
そのあと、身体を前に倒しながらツボを押し、おなかをへこませながら20秒かけて口から息を吐けばOK。肩の力を抜き、つねにツボを意識しながら行いたい。
タンパク質を毎食とる
タンパク質は筋肉や臓器、血管や血液、ホルモンや神経伝達物質にいたるまで、あらゆる人体組織の主成分だ。特に筋肉は8割がタンパク質で、柔軟な骨格筋と血管を維持して血圧を安定させるためにも欠かせない。
さらに血管を柔らかくする一酸化窒素の生成を促す物質もタンパク質からつくられるので、高血圧改善に必須な栄養素といえる。なかでも20種類のアミノ酸をバランスよく豊富に含んだ、良質な食材を選ぶことが重要だ。
「健康のために野菜中心の食事をするのはかえって危険。目安としては体重1キロあたり1グラムのタンパク質を毎日とりましょう。具体的には卵、豚肉、牛乳を1日3食のメニューに必ず取り入れてください。
タンパク質は身体にためておけないのでまとめて食べるのではなく、毎食食べるのも大切。1食の中で卵なら2個、豚肉なら100グラム、牛乳なら200ミリリットル以上とっていきましょう。できれば1食に1品だけでなく、卵と豚肉、豚肉と牛乳などと組み合わせるのがベストです」
卵は必須アミノ酸を摂取するには非常に優れている。豚肉も高タンパク・高栄養で特に疲労回復機能のあるビタミンB群が豊富。
赤身には鉄分やミネラルも多く含まれ、血管の健康維持や全身の老化防止も期待できる。そして牛乳は手軽に良質なタンパク質がとれるだけでなく、腸に届くまでわずか1~2分と、吸収の速さも大きなメリット。
「タンパク質がアミノ酸に分解されるには時間がかかるため、運動をする3~4時間前にとるのが良い。補助的にホエイプロテインを活用するのもいいですよ」
教えてくれたのは…加藤雅俊さん●薬剤師、薬学研究者。ミッツ・エンタープライズ株式会社代表取締役社長。JHT日本ホリスティックセラピー協会会長。薬に頼らず、食事や運動、東洋医学などから症状にアプローチするホリスティックの考えを日本に広めた第一人者。『1週間で勝手に血圧が下がっていく体になるすごい方法』など著書も多数執筆。
※血圧が高い人はかかりつけ医に相談のうえ実践してください。
取材・文/植田沙羅