女子トイレの個室内に設置されたディスペンサーに、専用の無料アプリをダウンロードしたスマホを近づけると、ナプキンが1枚取り出せる。

日本のジェンダーギャップ指数は146か国中118位

 1人につき2時間に1枚、25日間で7枚まで受け取ることが可能。この画期的な仕組みを生み出したのがオイテル株式会社だ。2021年にサービスを開始、現在はアプリが130万ダウンロードを突破した。驚くことにこれを企画立案したのは男性だという。

女性は平均して10代から50代まで、約40年間にわたって生理用品を買い続けなければならない。男性の場合、そんな商品がありますか? 個人の趣味、嗜好に費やすお金ではなく、必要不可欠なものとして、40年間生理用品のために消費税を含めて自費で払い続けなければならない。賃金格差もある上に、こんな不条理なことはないでしょう

“生理用品を、トイレットペーパーと同じ扱いに”(オイテル・飯崎さん)
“生理用品を、トイレットペーパーと同じ扱いに”(オイテル・飯崎さん)
【写真】男性にも知ってほしい! 出前授業で教えている生理用品の種類

 そう語るのは、オイテルの取締役・飯崎俊彦さん。当事者ではない男性が、このサービスの発想を得たのはなぜだろうか。

“社会課題をビジネスで解決する”というテーマのもと、実社会にどんな課題があるのかを掘り下げて調べました。その中で非常に気になったのがジェンダーギャップです。ちなみに前年の日本のジェンダーギャップ指数は146か国中118位。G7加盟国の中では最下位です」(飯崎さん、以下同)

 これは捨て置けない問題だと強く感じたという。

オイテルの取り組みは、ジェンダーギャップという不均衡を軽減したい思いからです。それを実現する1つの手段として生理に伴うさまざまな負担を軽減し、女性の機会損失、ひいては経済的損失の解決を目指したわけです

 生理の貧困は、お金がなくて生理用品が買えないという狭義の問題ではないと飯崎さんは強調する。個室にディスペンサーを設置するアイデアは、ネット上である声を聞いたことがきっかけだ。

“なぜトイレットペーパーは個室に無料で常備されているのに、生理用品はないのか”という疑問の声にピンときました。そこから、トイレットペーパーと同じように、無料で個室に生理用品を常備するための企画を考えていきました

 オイテルのディスペンサーは、隣の個室に気を使わなくて良いようにほぼ無音で生理用品が出るなど、女性の声に寄り添って設計されている。

いきなり生理になってコンビニで買おうとしても男性店員だったら買いにくいという声もある。トイレの入り口に販売機があっても、他人に見られたら買いにくいという女性もいる。そういう声がある以上、それは無視できない

 社会の当たり前のインフラとして生理用品の無料配布が定着することを、オイテルは目指している。

「世界中ただのひとりも、生理と無関係な人間なんていない」。そう言ったのは『御上先生』の女子生徒の一人だった。誰もが当事者意識を持って生理の貧困をなくしたい。

取材・文/ガンガーラ田津美