「アンチは人気がある証拠」「見なければいい」と周囲は言うが、心はナイフで刺されたように傷がつく。

「でも、その傷ついた気持ちをなぐさめてくれるのも、SNSで出会った人たちなんです。アンチコメントについて、悲しい気持ちを発信すると、多くの人が温かいコメントをくれます。そのような人たちのおかげで、今では各地でオフ会も開催できるように。また『菜桜ちゃんを見て自分も夢を叶えたい』と言ってくれた子から、数年後に『夢を叶えました』と、メッセージをもらうこともあり励みになります」

菜桜さんと由美さんの二人三脚の旅路

 今後の活動については?「自分がいつまで健康でいられるか不安はあります。今までどおり、菜桜の面倒を私がすべて見られるとは限らない」

2021年に大阪で開催された『韓国KIDSSHOPViViO』のファッションショーに出席した斉藤菜桜さん(写真/本人提供)
2021年に大阪で開催された『韓国KIDSSHOPViViO』のファッションショーに出席した斉藤菜桜さん(写真/本人提供)
【写真】酸素マスクが痛々しい…手術後に病院のベッドで休む当時3歳の菜桜ちゃん

 実際、由美さんは2年ほど前に、急なめまいで倒れ入院。退院した足で菜桜さんのショーに同行したということもあったそう。

「私が倒れたら菜桜の夢が終わってしまうという気持ち。10歳若かったらと思うこともあります。本当にいつやめてもいいし、のんびりと家族で暮らすのもいいと考えますが、本人がやりたいうちはサポートを続けたいですね」

 今年1月には、パリコレと同じく夢だったTGC(東京ガールズコレクション)の舞台に立った。

「緊張で少し猫背に。笑顔もなかったことが悔しかったみたいで、また出たいと言っています。菜桜の目標は、みんなが笑顔になれるモデル。ニューヨークに行きたいとも。ニューヨークがどこかちゃんとわかっていないんですけれどね」と由美さんは笑う。

「願いは口に出すことで叶うと信じているんです」

 菜桜さんの天真爛漫な笑顔とともに、夢への二人三脚は、まだまだ続いていく。


取材・文/小林賢恵