現在発売中の『週刊女性』で、人気漫画『OLヴィジュアル系』が復活。’00年にはドラマ化もされた同作は、美容業界にとっても画期的だったと高須クリニック院長・高須克弥は語る。
「(連載当時は)現在のように『アンチエイジング』や『美魔女』なんて言葉もなく、まだまだ美容整形がこんな気軽にできるなんて想像もつかない時代でした。当然、かなつ先生も勇気が必要だったでしょう。しかし、その体験内容を漫画で描くことで、美容整形の垣根を低くしてもらえたことは、業界の一員としてたいへん感謝しています。かなつ先生の業界への貢献度は計り知れないものがあります」
当時の編集担当・小谷哲さんはこう振り返る。
「当時はOLというキーワードが流行していたので、編集部の方針で“OLものの漫画をやろう”となったんです。それで、かなつ先生に企画の相談をしました。先生はそのころ、長編漫画は未経験だったんですが、ぜひやってみたいと快諾してくださって。それで2人でOLをテーマに何をやるかを考えていたら、先生が“美容整形”というキーワードを出したんです。続いて、当時はまだあまり浸透していなかった“脂肪吸引”や“豊胸”といった言葉が続々出て、僕も“これはイケる”と確信しました。そして、最終的に“素顔はジミな女の子の純愛ストーリー”でいこう、となったんです」
連載が進むにつれ、作者・かなつ久美先生も美しくなっていったという。
「先生とは初めに“決して整形を否定しない漫画にしよう”と決めたんです。マイナス面は描かず、“見た目はやっぱり重要だ”というのを表現しよう、と。女性の本音の部分を漫画という表現で軽やかに楽しく読ませたい、そう思って作っていました。先生は勉強熱心なため、取材もたくさんしていましたね。実際、この連載を始めてからさまざまなプチ整形にチャレンジされ、どんどんキレイになっていきましたし。もともと興味はあったんでしょうが、漫画に反映するために、さまざまな知識を吸収し、自分で実践した部分もたくさんあると思います」(小谷さん)
漫画では美容事情はもちろん、「女性がどう生きていくか」をまじめに表現したかったとも。
「1987年に男女雇用機会均等法ができましたが、連載が始まった1999年は、まさに過渡期だった。だから桜田門は腰かけOL、目黒川はキャリア志向の総合職、堀切さんは職人肌のOLから総合職に……と、立場の違う3人を出し対立の構図を作ったんです。さらに話が進むにつれ、彼女たちが固定観念やセクハラなどの女性差別といった、共通の敵を倒すために、一致団結して戦うさまもしっかり描きたかった。それによって“女性がどう生きていくか”ということをまじめに表現したかったんです。コメディーをやるにしても、根っこにそういう部分がないと、薄っぺらくなってしまうので。そこが描けたのも、人気を得た理由のひとつだと思います」(小谷さん)