『週刊女性』の連載『人生が変わる「引き寄せ」相談所』で読者のお悩みに答える奥平亜美衣さん。
「会社勤めをしていたころは、通勤時間にたくさんの本を読んでいました。昔から本を捨てられないのですが、最近はバリに越してしまったので、持っている本は少数精鋭になりました。現地には日本人会の図書館があって、メンバーが日本で買いつけてくるので、最近の本も読めるんですよ」
そんな奥平さんが、幸せを引き寄せられる本はあるのだろうか。
「どんな本を読んでも、読むことで自分が経験していない人生や世界を知ることができます。すると、知らない世界を想像するための材料がそろい、“何を幸せだと思うか”という自分なりの判断基準が底上げされるんです」
例えば毎日、夫や子どもたちと他愛もない話をしながら朝食を食べ、仕事や学校へ送り出すという日常生活を送る人にとって、その暮らしぶりは“当たり前”でしかない。
「でも、すべての人がその生活を送っているわけではなく、望んでもできない人もいます。日常が“当たり前ではない”と気がつくことができたとき、幸せがいま、ここにあることに気づけるんです。何が幸せかという基準は万人に共通ではないので、自分の幸せを知るのが大事。日常生活のなかにも、たくさんの幸せがあります。本を読むことでモノの見方が変わり、幸せに対する感受性が磨かれるようになりますよ」
そんな“幸せセンサー”を磨いて毎日を楽しんで過ごすと、どんどん幸せは連鎖すると奥平さん。特によしもとばななの『小さな幸せ46こ』は、センサーを磨くのによいという。
「例えばコーヒーを飲むというシーンでも、“おいしいコーヒーだなぁ”と感じるのも幸せ、“豆の産地の天気がよかったからおいしくなったんだ”と、コーヒーがおいしい理由について思いを馳せることも幸せです。昔の私が読んでも“で?”“だから?”という感想だったと思います(笑い)。だんだんと、幸せの感受性は高まります」
当たり前が幸せに変わったら、次は悲しいことやつらいことを先々の幸せだと思える力を養うこと。
「同じくよしもとばななさんの『なんくるない』という小説です。今そのときはつらくても、なくてはならない出来事だったと思えるような本です」
奥平さんも、やりたいことが見つからなかった時代は苦しかったと語る。
「就職したいと思えず、海外を放浪していたんですが、そのときは、落ちこぼれて逃げているような感覚でした。この本を読んで、あのときの経験も役に立っていると気づけたんです」
絶望の淵にいても、それが幸せに変わることもある。
「『アルケミスト』という本は“信じたら何でもできるよ”と教えてくれる1冊。人に騙されて無一文になっても、助けてくれる人がいたり、山賊に襲われても嵐を巻き起こすことができたり……。心のコンパスに従えばよいと再確認させてくれる本です」
幸せを引き寄せるための下地作りができたら、
「些細なことでもハッピーな気持ちになれるように、たくさんの本を読んで、たくさんの幸せを見つけてみてくださいね」