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 マンガ家で、コメンテーターとしても活躍する倉田真由美さん。

「初めて買った単行本は、『ドラえもん』の1巻でした。昔からマンガは大好きで、『コロコロコミック』や『りぼん』『なかよし』、『ジャンプ』を読んでいましたね。女子中学生が読むにはエッチだった『ビッグコミック』『スピリッツ』なんかも、父が買ってくるおかげで読んでいました」

 活字もマンガも大好きで、読書は“食事”のようなものだとか。どちらも紙をめくって読み進めるのだが、

「ふだんからマンガを読まない人は、“……”という吹き出しの間合いとか、怒っている人の頭から出ている湯気が理解できないんですって。マンガを読む人たちは、実はバイリンガルなんですよ(笑い)」

 慣れていればサクサク読めるうえ、情景が想像しやすいので物語に没頭しやすいマンガ。今や子どもだけの読み物ではない。

「仕事や家事をしていて本を読むには時間がなくても、マンガならより短い時間で読めます。大人がマンガを読むなら、絵にクセがないかを気にしたいところ。クセが強いと、それだけでおなかいっぱいになってしまうこともあるので、熟練の作家が書くようなクセや破綻がない絵だと読みやすいと思います」

そんな倉田さんが、読者世代にぜひ読んでほしいと太鼓判を押す作品とは。

「弘兼憲史さんの『黄昏流星群』。大人の恋愛マンガです。10~20代のとき読んだような甘酸っぱい青春をまとった恋愛ではなく、そのへんにいるような中高年が恋愛を謳歌しています」

 細くてかわいい女の子とイケメンの彼氏……ではなく、腹の肉や垂れた胸、身体のシミなどもリアルで、絵だけでも楽しめるそう。

「少なくても30歳を越えないと、このリアリティーは楽しめないと思います。基本的に1巻で完結するマンガなので、本屋さんで見かけたら好きな表紙のものを買ってみてください!」

 2冊目のオススメは、小栗旬が主演で映画化された『岳』の原作。

「私は山に登りたいとは一切思いませんが、それでも感動できるストーリーです。山岳救助隊の男性が主人公で、救助できる遭難者もいれば、救助できなかった人も。映画では描かれていない部分も多いので、楽しめると思います」

 読書の長所である、“自分が経験できないことを擬似体験できるところ”がふんだんに盛り込まれた作品だという。

「人の生死は実生活でそうそう経験するものではありませんが、フィクションの世界では経験した気持ちになれます。主婦生活とかけ離れた本を読むと、普段の生活とは違うけれどリアルな題材について考えるきっかけになりますよ」

 もう1冊も、山にまつわるノンフィクションコミック。

「『山賊ダイアリー』というマンガは、猟師兼マンガ家である主人公が、山での狩猟や自分で捌いてジビエを食べるなどの経験を描いた実録史です。“猟師”という存在は誰でも知っていて、昔からいますよね。でも、どのように生活しているかは知らない人のほうが多い。このマンガは日本の文化史であり、知らないものを見せてくれる1冊です」