セリフを覚えるのは得意で、方法は企業秘密とのこと。体力を保つために毎日欠かさない習慣は教えてくれた。
「事務所は1階で住まいは3階。32段あってそれを1日5回ぐらい上がったり下りたりするんです。往復5回すれば150段ぐらい上り下りするのでいいエクササイズになります。何か1つわざと忘れて自宅へ取りに行くこともあるんです。ただ、健康でいるために一番必要なのは、感動することと感激することです」
80歳を越えても挑戦し続けるのは作品を見た人にいい影響を与えることに喜びを感じるから。が、自分の死を意識することはあるという。
■一番に憎むべきは戦争
「いくら僕が長生きしたいって言ってもできないんだよ。酒もタバコもやめて謹厳実直に生きていますって言ったって、死はどっかで待っているんだよ。そこまで、精いっぱい行くしかない。だから人生、日々がスタートだと思っている。これまでにも、僕は死ぬかもしれない瞬間というのはあった。それでも、なぜか神様は僕を生かしてくれた」
満州から引き揚げるとき、ソ連兵に撃たれて負傷したこともあった。泥水をすすり、草を食べて生き延びたからこそ、伝えたい思いがある。
「戦争で犬死にはしたくない。させちゃいけない。殺し合いの場において人を死なせちゃいけないし、相手も殺しちゃいけない。それだけだよ。一番に憎むべきは戦争。罪もない人がうんと死ぬんだから。
日本だって、広島・長崎で約28万人っていう人が、東京大空襲では2時間で約13万人が死んだ。だから戦争のない国にならなければいけない。利己主義じゃなくて個人主義がいい。個人主義は自分を愛するがゆえに、人を愛する力を持てるんです」
自らの天命については達観している。
「神様が決めてくれることなんだからわからない。それまで精いっぱい生きなきゃしょうがないでしょ。目いっぱいエンジン吹かして、お呼びが来たら周りに世話をかけずにスパッと死を迎えたい。映画で言えばカットアウトです」