普段、何げなく使っているスマートフォン(以下スマホ)は、今やなくてはならない存在。そもそも10年前はなくても平気だったのに、身近な存在になったのは、便利さと情報処理能力の高まり。それによって私たちは気づかぬうちに本能の退化どころか、スマホによって“老化”しているという。
スマホを覗き込むような巻き肩や猫背などの前屈姿勢は、お腹を圧迫し、腹圧が上昇することで起こる、食道裂孔ヘルニアや、逆流性食道炎といった消化器系の病気へのリスクも高めてしまう。
姿勢や骨格からくる病気に詳しい、東京医科大学病院・消化器内科の祖父尼淳先生は言う。
「スマホを片手に寝転がったり、横になりながらなど、均整のとれていない姿勢を長時間続けていることが、身体に悪影響を与えてしまうのは、自明の理。代表的なものに、スマホ病を有名にしたストレートネックがあります」
ただの姿勢のゆがみだとタカをくくっていると、大病につながる可能性も出てくるというから穏やかではない。
「ストレートネックは、慢性的な頭痛や肩こり、首の痛みの原因となっているものです。首の骨は重い頭を支えるため、正常では軽いS字カーブを描いていますが、それが前屈姿勢を続けることでまっすぐになってしまいます。そうなると頭の圧力を支えきれなくなり、首や肩に負担をかけてしまうんです。
特に女性は男性より筋力が弱いので起こりやすいですね。肩こり、首こり、手や腕のしびれ、さらには頭痛、吐き気、めまい、不眠などの自律神経失調症も引き起こすことがあります」
聞いているだけで怖くなる言葉がずらり。さらに先生は続ける。