レコ大と紅白が同日開催されていた時代

 デビューしてすぐに作曲の才能を認められた中西。翌年リリースした3枚目のシングルで宝石店『カメリア・ダイヤモンド』のCMソング『Woman』も大ヒット! その年の日本レコード大賞作曲賞を受賞した。

「『Choo Choo TRAIN』が爆発的にヒットして、世の中に受け入れられたことで動き始めたのかもしれないと思っています。

『Woman』は、作詞の売野雅勇さんから、ボーカリストとして伝えていくとは、どういうことかを教えていただいた曲でもあります。言霊じゃないですが、背中を押すというか、聴く人の力になることができる。世の中での歌手の役割というものを初めて感じさせてもらいました」

 まだ大晦日にレコード大賞紅白歌合戦が同日開催されていた時代。

「武道館でレコード大賞の作曲賞をいただいて、そのままNHKホールへ移動して紅白歌合戦に出演する。噂には聞いていましたが、これかって(笑)。

 レコード大賞の会場には両親も来てくれたんですが、苦笑いさせることになってしまって。賞をいただいた『Woman』を披露したとき、2番まで歌うことを知らず、演奏が始まっても間奏だと思って、しばらくボーッと突っ立っていたんです。やってしまいました(笑)。

 紅白で歌わせていただいた『君のいる星』は、あれっ!? 今回のベストアルバムに入っていないな。これは別で披露するために、あえてですね(笑)」

活躍を続ける中で離婚も経験

 数々のCMソングやドラマなどのテーマ曲が収録されたアルバム『yell』('92年)、『Steps』('93年)、『Starting Over』('94年)が3作連続でオリコン1位を獲得。

 また、バラエティー番組から誕生したウッチャンナンチャンの南原清隆、キャイ~ンの天野ひろゆき、ビビアン・スーによる企画ユニット“ブラックビスケッツ”による『タイミング~Timing~』('98年)の作曲も手がけ、150万枚以上を売り上げるミリオンヒットとなった。

 さらに、ディズニーアニメ『美女と野獣』の主題歌『ビューティー・アンド・ザ・ビースト~美女と野獣』などを歌う米有名歌手のピーボ・ブライソンといったグラミー賞アーティストとのデュエット曲を発表するなど、まぶしいほどの活躍を続けてきた中西。

「出会いに恵まれていたんじゃないかなと思います。すごくラッキーだった」

 プライベートでは、'98年に現在ナチュラリストとして活動する益戸育江さん(元女優の高樹沙耶)と結婚。公私ともに充実していたが、'00年に離婚。1年間のサンフランシスコ生活を経験する。

「サンフランシスコでは、ワールドツアーを回っているような有名なミュージシャンが故郷に戻ってきて、教会やお祭りで演奏している姿をよく見かけたんです。ごく自然に、楽しみながら音楽で地域に貢献をしている姿を見て、自分も日本に戻ったら音楽でなにかしらの貢献ができたらと思いました」