「廃炉作業中に何かあったら、ここも危ない」
同町内にある常磐線「竜田駅」は、現時点ではいわき方面から運行される常磐線の終着駅だ。その先には放射線量の高い「帰還困難区域」がある。
駅の営業が再開された'14年当時は楢葉町の避難指示は解除されておらず、周辺に住民はいなかった。当時から駅に勤務する鎌倉守保さん(60)は、町の変遷を駅から見続けている。
「本当にいいところでしょう」と目を細め、「原発と放射能がなければ」と続け、苦笑いを浮かべた。
竜田駅の利用者は工事関係者が目立ち、住民であっても年配の人が多い。
「町の発表では(帰還者は)600人以上だけど、せいぜい400人くらいかな。週に3日自宅で、あとは避難先にいるとか、通っている人がいるからね」
駅は、福島第一原発から15キロ、第二原発から6キロのところにある。
「チェルノブイリですら原発に近い町は住民を帰していないでしょう。廃炉作業中に何かあったら、ここ(竜田駅)も危ない。復興優先、帰還ありき、というのは大人の犯罪ですよ」