「男性ホルモンの一種であるテストステロンの値を測定すると、イマドキの草食男子と言われる若者は、この値が低いことがわかっています。また、男性は50歳ごろからテストステロンが低下し、勃起不全(ED)や性欲減退が起こり、セックスレスになることも少なくありません。ほかにも、うつやイライラ、疲労感、筋力の低下といった症状が現れることもあります。
そういった方々にテストステロンを補充すると、“女性がキレイに見えるようになった”“疲れなくなった”“元気さが戻った”という報告を受けることが多く、またセックスを楽しむ元気がでてくるのです。女性はパートナーの元気がなくなったら、1度、メンズヘルス外来への受診をすすめてみてはいかがでしょうか」
100歳で健康な人は男女ともに、DHEA値が高い
この男性ホルモンは、男女ともに寿命の長さにも関係していることがわかっています。
「男女ともにテストステロン値が高い人のほうが長生きしているというデータがあり、テストステロンの投与で認知症の進行を遅らせたという研究結果もあります。また100歳で健康な男女ともに、副賢から分泌される弱い男性ホルモンであるDHEA値が高いことも知られています。
男性週刊誌では『死ぬまでセックス』といった特集がよく見られますが、“セックスをしたから長生きできる”のではなく、“セックスできるほど元気である”ことが大前提なのです」
男女ともいつまでも元気で、セックスも楽しむためには大事な男性ホルモンですが、一方で“女性らしさ”を忘れてしまうと、誘われなくなってしまうので危険性も。
「男性ホルモンが優位になると、女性でも口ヒゲが濃くなったり、男性っぽい言動をしがちになったりします。そうなると、男性からみて女性としての魅力を感じられなくなり、誘おうという気持ちが起こらなくなってしまうでしょう。
いくつになってもセックスを続けていきたいなら、元気であるとともに、外見にも気を遣い、女性としての美しさを意識して、男性から求められる対象であり続けることを心がけてください」
<プロフィール>
くまもと・よしあき 1929年、東京生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学泌尿器科学講座講師を務めた後、UCLAに留学。帰国後、札幌医科大学医学部泌尿器科学講座主任教授を務め、男性医学・泌尿器科外科学・尿路性器感染症学を中心に研究を行う。現在、日本メンズヘルス医学会名誉理事長、札幌医科大学医学部名誉教授、メンズヘルスクリニック東京名誉院長。著書に『男はなぜ女より短命か?』(実業之日本社刊)、『さあ立ちあがれ男たちよ!』(幻冬舎刊)ほか。
※記事中の誤記「DEHA」を「DHEA」に訂正しました。