汚れなきアイドルの時代は終わった

「昭和の歌手は視聴者を楽しませる、いろんな活動に長けていました」

 “歌は世につれ、世は歌につれ”と言われるとおり、音楽は時代を色濃く反映するもの。アイドルも同様だ。

「昭和歌謡は“総合芸術”。歌がうまいとか、曲がいいというだけでなく、曲作りもサウンドも、プロデュースもすべて含めたもの。(アイドルには)歌唱力よりも、なぜか聴いてしまうという商品価値のあるボーカル、何かしらの“旨味”があればよかった」

 前出のアンケートでは、“アイドルに必要なもの”について「ルックス、歌唱力、カリスマ性」(50代・会社員)、「トイレに行かないかもと思わせてくれる夢」(50代・主婦)との指摘が多数。また「今のアイドルは口パク&イヤーモニターで魅せてやろうという気迫がない」(40代・主婦)、「CDを予約して買うのではなくダウンロードは味気ない」(40代・主婦)といった意見も珍しくない。

 半田さんは、「今のアイドルを“アイドル”と呼ぶのであれば、昔のアイドルは“歌手”と言ってほしい。今のアイドルとは別もの。僕としては、一緒にしてほしくないんです」と力説。さらにこう続ける。

「フリフリの衣装を着て豪華なセットで歌う、昔ながらのアイドルには、“1度やってみたい!”と憧れるワクワク感があった。ところが今のアイドルは“毎日、大変だよね”と同情されてしまう存在になってしまったと感じます。アイドルは“偶像”という意味ですが、今はリアリティーしかない。汚れなきアイドルの時代は終わってしまった。

 そう考えると、最後のアイドルは松浦亜弥さんかもしれない。つんく♂さんの曲もいいし、曲調や振り付けがキャッチー。一生懸命にやり切っていて、見ていて気持ちがいい。昭和のアイドルの要素があります」

 時代の申し子であるアイドル。'90年代以降もモーニング娘。を皮切りにAKB48、ももいろクローバーZ、Perfumeなど、さまざまなタイプが人気に。“アイドル戦国時代”と呼ばれるようになって久しい。

 次は、どんなアイドルが登場するのだろうか。

<プロフィール>
半田健人◎'84年生まれ。兵庫県芦屋市出身。'02年俳優としてデビュー。10月26日、メジャーデビューシングルとなる『十年ロマンス』をビクターよりリリース。自身による作詞・作曲・編曲の意欲作。