性に関するおびただしい情報が氾濫し、非道な性犯罪の報道も珍しくないこの時代。わが子はまっすぐ育ってほしい、誰かに肉体的に傷つけられたり、誰かを傷つけたりすることなく、健やかな恋愛と性を経験してほしい──。
これらはすべての親に共通する、切実な願いでしょう。しかし現状、日本において適切な性教育は、まだ発展途上。でも、子どもたちの成長は待ってくれません。
そこで今回は、思春期の男の子についての著書もある、育児・教育ジャーナリストのおおたとしまささん、女の子の身体についてのエキスパート・やまがたてるえさんに、読者からの具体的な性教育の悩みについて、お答えをいただきました。
※小学生編、中学生編の2回に分けて公開します。まずは、まだまだ可愛いお悩み中心の小学生編。
小学校低学年の男の子と女の子、2人の子どもがいます。パパやママと、何歳までお風呂に入っていいのでしょうか?
実は大学生になっても、親とお風呂に入っているケースもあるのだとか! しかし親子といえども入浴はプライベート。適切な時期に、自然に分けたい。
「その子の心身の成長によるのですが、10歳くらいを目安に、親のほうから頻度を減らすのがいいと思います。少しずつ身体が変わっていく時期に、子離れをしていく感覚です」(おおたさん)
また、話し合いをするのも大切。
「家族の中で誰かが抵抗感を持ったら、やめるのがいいと思います。例えば娘が一緒に入りたくても、パパが、“大人になってきたキミとのお風呂は、パパが恥ずかしい”と言えば、もう終わり。親子で話して決める場を持ってくださいね」(やまがたさん)
小学校1年生の息子がおっぱい好きで、しょっちゅうモミモミ・チュッチュしてきます。……大丈夫でしょうか?
多くの男の子はおっぱい好き。でも、周りがどんどん“卒業”していくなか、わが子だけが触っているとなると気になるもの。
「おっぱいに執着する時期は、ママが嫌でなければ、触らせても大丈夫。ただ、“おうちの中だけ”などと、TPOを教えたほうがいいですね。なお、いくらわが子であっても、我慢は不要。嫌ならその気持ちを伝えましょう」(やまがたさん)
嫌な場合は、「ダメ!」と強く拒絶するのではなく、「ママ、そんなに触られると痛いの」「ちょっと恥ずかしいな」などの、やわらかい言葉を選んで。それでも触りたいと言われたら、「ここもおっぱいと同じだからね」と言って、二の腕を触らせてもいいのだとか。
小学校1年生の息子の母です。息子と毎日お風呂に入っているのですが、生理のときに「血が流れている!」と心配されます。どう説明すべきでしょうか?
6〜7歳という年齢を考えれば、ファンタジーすぎる回答も、生物学的にこだわりすぎる回答も、適切ではない。
「小さい子に生理の話をする場合、血を流しても病気ではないことを話して安心させ、“女の人は大人になると、血を流すことで身体をキレイにするのよ”くらいの精度の説明をしてあげてください。もっと詳しい知識は、大きくなってからで十分」(おおたさん)
ここで重要なのは、ネガティブにならないこと。
「女の人が大人になったら当たり前に起きる、健康の証。赤ちゃんを迎える準備のできる、素敵なことだと伝えましょう」(やまがたさん)