「動詞」型の人は、えてして知的な雰囲気が演出できる言い回しを好みます。逆に、知的な雰囲気からは遠いシンプルな表現、すなわち「動作」レベルの表現を用いる人を評価しようとせず、なかなか耳を傾けようともしません。
たとえば「動詞で指示するのは、人材育成上の配慮だから問題ない」といったコメントを、何度かもらったことがあります。
上司が部下に指示を出すとき、あえて「ちょっとこれ、まとめておいて」というように「動詞」表現にしておく。そして「どうまとめるのか」は本人に自主的に考えさせる、というわけです。
以前、質疑応答で直接このコメントをもらった際、私は次のように回答しました。
「なるほど、確かに育成上の配慮として、あえて動詞表現でぼやかすということはありえるでしょう。ただ、1つだけ確認してほしい『条件』があります。それは『仮に自分が、動作で表現しろ、と言われたらできるか?』ということです。
たとえば『ちょっとこれ、まとめておいて』という指示を出すのであれば、ご自分でも『自分だったらどうまとめたらいいか――たとえば、もっとも大事なポイントを3つ選んで、取り組むべき順に紙に書き出してみる、など』といった答えは、少なくとももっておいたほうがいいでしょう。自分でもどう動作にしたらいいかわからないことを丸投げしても、相手は教育の一環とはまず思ってくれません。信頼関係を損なうだけです」
その後、この受講者の方は「動詞」に偏っていたご自身のコミュニケーションを自覚し、「一生ものの気づきを得ることができました」と感謝の言葉を寄せてくださいました。
うまく説明できない理由は「ここ」にあった
さて、ここでお伝えしたことをまとめると、ポイントはいたってシンプルです。
なぜ、うまく説明できないのか?
その理由は、そもそもこれまで「わかりやすい説明の仕方」を学んだことがなかったから、あるいはもし学んだことがあったとしても、その内容が「動詞」レベルだったからです。そのために、あなたの説明自体が、知らず知らずのうちに「動詞」表現に偏っていた可能性が高いと考えられます。