■リーズナブルに介護を受けられる介護保険施設
【1】手厚いケアで、費用負担が少ない「特別養護老人ホーム」
通称“特養”。常に介護が必要で、自宅で過ごすのは困難な高齢者が入居できる施設。介護保険制度の“施設介護サービス計画書”に基づき、食事・入浴・排せつなど日常生活全般の介護、機能回復訓練、レクリエーションなどのサービスが受けられる。介護スタッフが常駐しているのも安心。相部屋もあるが、個室も増えている。
待機者が多く、“数年待ち”のイメージがあるが、地方や郊外などアクセス面で妥協すれば、入居しやすいところも。「急ぐ場合は複数の特養に申し込みをしておくといいですね」(太田さん)。入居は申し込み順ではなく、必要性の高い人が優先される。要介護度が重く、ひとり暮らしの人は優先度が高い。自治体によって優先事項が違う場合もあるので確認を。
※費用目安は、3割負担導入前のものです(以下同)
【2】リハビリで在宅復帰を目指す「老人保健施設」
通称“老健”。入院していた高齢者が“退院となったけど、まだ家庭に戻るのは難しい”場合に入居し、在宅復帰を目指す施設。医師が常勤し、理学療法士や作業療法士などの専門職も配置されている。利用者それぞれの目標に応じた“介護サービス計画書”が作成され、必要な医療、看護や介護、リハビリテーションを受けられる。相部屋、個室の双方がある。
入所期間は、原則約3か月。その後は3か月ごとに入所が適切かどうか判断される。実際には、長期入所している人も珍しくない。「特養に入居できるまでの“つなぎ”として利用する人も多いです」(太田さん)。
【3】長期の療養が必要だったら「介護療養型医療施設」
通称“療養病床”。急性期の治療は終えたものの、寝たきりなどになり、長期入院が必要な高齢者が入れる医療施設。「かつての“老人病院”の役割を引き継いでいるのが、この療養病床です」(太田さん)。
介護保険で入れる3つの施設のうち、最も医療や看護に重点を置いている。医学的な管理のもとで介護や日常生活支援が受けられる。レクリエーションなどのサービスはほとんどない。医療の比重が高くなれば、費用も高くなる。医療が必要ないのに、家族の都合で入院が長期化する“社会的入院”を引き起こしやすいとして、国は’17年度末に療養病床は廃止し、老健などへ転換していく方針。