「両陛下がいらしているというので、貸し切りだと思ったらそうではなく、帰りにお見送りをすることもできたので、感激でしたね」
そう話すのは、栃木県の那須御用邸で静養されていた天皇・皇后両陛下が、7月26日に足を運ばれた「藤城清治美術館」に居合わせた女性。
影絵作家の藤城さん(93)は長年、皇室と親交があり、美智子さまに影絵を献上したこともある。その作品も所蔵している美術館が'13年に那須御用邸の近くに開館。今回、両陛下がお忍びで急きょ訪問されることになったという。
7月24日から28日まで、那須で静養されていた陛下と美智子さまの初日の外出は、恒例の地元農家ご訪問。花の生産農家を視察し、ビニールハウスで栽培中のシクラメンなどをご覧になり、美智子さまは「かわいいですね」と笑顔だった。
翌日からは、美智子さまは陛下に付き添い、葉山や軽井沢での静養のときのように、活発に外出されるのかと思われた─。
「6月下旬に葉山御用邸に滞在の際は、長年親交のあった近所の薬局の女性店主のお悔やみに。急勾配の坂道を上り、知人宅に足を運ばれるなど精力的に過ごされました」(皇室ジャーナリスト)
昨年8月の軽井沢ご静養のときも、友人宅や美術館訪問、ピアノレッスンなど普段と変わらない“過密日程”をこなされているようだった。那須御用邸近くの住民は、次のように話す。
「今回の静養中、両陛下はあまりお出かけになっていない印象です。この25日は、雨が降ったりやんだりで、どこにもお出かけにならなかったようですよ」
26日は冒頭のように美術館を訪問された後、午後のお出ましはなし。27日の午前中は出かけられた。
「『那須平成の森』で、美智子さまにお会いできて、とてもうれしかったです」と話すのは、両陛下と偶然出会った旅行中の女性。
この自然公園は、国民が自然と触れ合う場所にしてほしいという陛下の意向を受けて、御用邸の約半分にあたる560ヘクタールを開放し、'11年にオープンしたもの。
「美智子さまは、杖をついていた女性をねぎらい、虫捕りをしていた子どもたちにもお声がけをして、陛下と一緒に入園者との触れ合いを楽しまれていたようでした」(前出・女性)
その後、帰京された翌28日午後まで、美智子さまは陛下と御用邸内にとどまられたようだ。
お出ましが「控えめ」だった美智子さまの“胸の内”について、
「特に今回は、九州北部をはじめ東北などで豪雨の被害が出ていることも影響していたかもしれません」
と話すのは、皇室を長年取材するジャーナリストで、文化学園大学客員教授の渡邉みどりさん。
「自然災害などで国民が苦しんでいるときに、両陛下はお慎みになります。そんなお気持ちから、外出をお控えになったという面もあったのではないでしょうか」(渡邉さん)
那須高原の涼しげなヒグラシの鳴き声をお聞きになりながらも、美智子さまの心は過酷な状況にある被災者たちのもとにあったのだろう。