黒田清子さんも交え、美智子さまの伴奏に合わせチェロを演奏された('05年10月)

天皇陛下と学習院初等科から大学まで同級生・森田茂昭さん

 陛下はチェロをたしなまれますが、私も大学からチェロを弾いていたので、卒業後は音楽関係でお付き合いがありました。

 赤坂の御所で、皇后陛下のピアノ伴奏で弾かせていただいたこともあります。あるときは御所で、ベルリンフィルの“12人のチェリストたち”を招かれたミニコンサートにもご一緒に鑑賞させていただいて、それはもう、ありがたかったですね。

 両陛下と最近お会いしたのは、昨年12月です。毎年の春と秋に1回ずつ、主催者と親しい友人が30人くらい集まって、勉強会のようなものがあり、その会に両陛下もお呼びしています。みなさん夫婦で参加されるので、皇后陛下はいつも奥様方とお話しされていますね。

 この会では、それぞれのご家庭で料理を持ち寄るのですが、皇后陛下はみんなで食べられる“みかん”などを持ってきてくださいましたね。皇后陛下は、私の妻が作った鶏肉と海藻を混ぜた料理に「おいしいから作り方を教えてください」とおっしゃっていました。ほかにも寿司とかお菓子を持参して、自由に食べるスタイルです。

 最近は雑談が多いのですが、昨年に陛下がおっしゃっていたのは「戦争」について。大東亜戦争の時代は、国中が戦争を美化していたけれど、戦後は戦争の話をするのをやめようという風潮になったことを強調されていました。

 最近は月日が流れたことで話す人もいますが、当時は口をつぐんでいる人が多かったのです。今でも陛下は、慰霊の旅を行っていますが、戦争で犠牲になられた方やご遺族を慰めたいというお気持ちなのでしょうね。

 戦後間もない中学生のころ、東京都小金井市で寮生活をしていましたが、陛下もご自分で布団の上げ下げや、当番のときは掃除もされていました。以前までは、陛下には別に食事が届いていたのですが、寮生活のときは寮生とまったく同じものを召し上がっていたのです。極端な例を挙げれば、おかずがなくて白米にソースをかけただけのものを召し上がっておられました。

 最近は、同窓会が開けないほど同級生が亡くなってしまい、同期の中では毎日のようにお仕事されている陛下がいちばんお元気なんじゃないかという話になりますね。

 私もボランティアの経験はありますが、陛下はとにかく世の中や人々のためにいろいろとやってこられていて、これまで本当にご苦労さまという気持ちです。皇后陛下も常にご一緒で、私たちにはとうていまねできません。陛下のご性格からすると、退位された後はいろいろなところに観光旅行されるかもしれませんね。