「上皇ご夫妻は、3月19日から『葉山御用邸』、25日から栃木県の『御料牧場』に移動し、それぞれの場所で静養された後、31日に『仙洞仮御所』に引っ越されます」(皇室担当記者)

 約2週間にわたってお身体を休められた一方で、移動の際には、いつもとちがう“態勢”が敷かれていたと話すのは、ある宮内庁関係者。

「現在、世界で猛威をふるっている新型コロナウイルス対策として、今回のご静養先への移動時の駅頭や沿道に、多くの人々が集まらないようにしていました。

 これまで葉山では、上皇ご夫妻が通過される際に地元住民に知らせたり、奉迎する場所を警察が作っていましたが、今回はいっさいなし。

 移動日時を公にせず、以前は設定されていた、新幹線に乗るために立ち寄られる東京駅や宇都宮駅での取材もなくし、人だかりができないように徹底したのです」

 ウイルスが感染拡大する中、小規模な集団感染『クラスター』を引き起こさないためのお気遣いだったのだろう。

 そんな皇室の中では、普段から感染症対策にぬかりはないと、上皇職関係者が話す。

「御所に入る際には、職員全員がマスク着用と手の消毒は欠かしません。くしゃみや発熱など風邪の症状がある職員はすぐに休みをとるようにしたり、必要以上に皇族方のいらっしゃる場所まで上がらないようにするなど徹底しています。

 美智子さまは、お引っ越しの作業をされていたときから、使い捨てマスクではなく、中のガーゼを取り替えられる布マスクを何度も洗って繰り返し使われていましたね。

“中のガーゼを湿らせると、のどの負担を軽減できる”とおっしゃっていたそうです」

 皇室の方々の感染症対策が、一般国民とそう変わらないのは意外かもしれないが、決定的にちがう点があるという。

「上皇・上皇后両陛下、天皇ご一家、秋篠宮ご一家が一般の国民と決定的にちがうのは、医師が24時間体制でおそばにいることです。

 英王室のチャールズ皇太子がコロナウイルスに感染しましたが、日本の皇室の方々も感染する可能性はあります。ただ、軽症でもすぐに医師に診てもらえますし、検査を受けることも可能でしょう」

 そう話すのは、宮内庁OBで皇室ジャーナリストの山下晋司さん。

 コロナウイルスの感染拡大で、皇室の方々も公私にわたって大きな影響が出ている。