目次
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ー 生活習慣病は薬では治らない ー 怖いのは薬の効きすぎ
Page 2
ー シニア女性は骨の薬にも要注意
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ー 漫然とのみ続けてはいけない!生活習慣病の薬のリスク

 

 生活習慣病の初期サインは自覚しにくいため、健康診断で指摘されても油断しがちだ。だが、「まあ、病気になってもをのめばすむ話でしょ」と考えるのは大間違い。

生活習慣病は薬では治らない

「生活習慣病は、遺伝的な背景に加えて喫煙や運動不足、偏った食生活など、健康的といえない生活習慣が招いた病気のこと。その生活習慣を改善しないかぎり、病気は決して治りません」

 に頼りがちな日本人に警鐘を鳴らすのは、医師であり剤師でもある平井みどり先生だ。

 生活習慣病がだけでは治らないことを示す、平井先生の知人の例を紹介する。

 さる重職にいた70代男性は血糖値が異常に高くなり、ついに入院。もともと血糖値が高めだったうえ仕事柄かなりのストレスにさらされていた。

 一時はインスリン注射が必要なほどだったが、重職を退いたことで血糖値は順調に下がり、ついにはインスリン注射も不要になったという。

「この人の場合はストレス過多だった生活が改善されて血糖値コントロールに成功しました。だけに頼ってストレスの多い生活を続けていたら、将来は透析などが必要になっていたかもしれません」(平井先生、以下同)

怖いのは薬の効きすぎ

 厚生労働省の調査によれば、70歳以上の女性の5割が高血圧のを、3割がコレステロールを下げるをのんでいる。ただ、医師に言われて漫然とをのみ続ければ、新たなリスクを招きかねないと平井先生は言う。

血圧を下げる薬とコレステロールを下げる薬をのんでいる女性の割合を示したグラフ。どちらの薬も年齢が上がるほどのむ人が増えていることがわかる。(出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」令和元年)
血圧を下げる薬とコレステロールを下げる薬をのんでいる女性の割合を示したグラフ。どちらの薬も年齢が上がるほどのむ人が増えていることがわかる。(出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」令和元年)

「同じの量でも加齢によりの効き方は変化します。怖いのはの効きすぎです」

 加齢により腎臓や肝臓の機能が衰えると、の代謝に時間がかかり、体内にの成分が長くとどまる。若いころと同じ量でもが効きすぎるおそれがあるのだ。

 生活習慣病のが効きすぎると、どうなるのか?

の種類やその日の体調により、ふらつきや転倒、食欲不振や便秘、排尿障害などさまざまな不調が起こりえます」

 例えば糖尿病の。最近ではSU(スルホニル尿素)が低血糖を起こしやすいことが知られ、高齢者には低血糖を起こしにくい他のに切り替える傾向になってきた。

「ただし、他の種類のにすればもう安心、とはいきません。複数のをのむ人も多いので、のみ合わせによる作用にも十分注意してほしいですね」

 しかも、高齢になるほど低血糖の初期症状を見逃しがちというからやっかいだ。

「低血糖でふらつき、転倒して骨折でもすれば、糖尿病の人は血流障害などのせいで治りが遅いため、寝たきりになるなど状況が悪化するおそれがあります。また、低血糖で頭が混乱して興奮したりぼんやりしたりする『せん妄』を起こしたのに、認知症と勘違いされてしまう人もいます」

 その結果、新たにが増えてしまうなんてこともある。

 高血圧のも、血圧を下げすぎれば、ふらつきや転倒の危険がある。また、血液中のカリウム値が上昇しすぎて不整脈を起こす種類のもあり、心臓に問題を抱える人は特に注意が必要だ。