テレビを見ていて「この芸能人、こんなに鼻がデカかったっけ?」と感じたり、マスクを外して鏡に映る自分を見て「私の鼻、にんにく化してる……?」なんて、ひとりごちてしまったりした経験はないだろうか。
中高年以降は要注意!加齢で巨大化する鼻
「過去の自分の写真と比べて鼻が大きくなっていると感じたなら、それは目の錯覚ではなく、本当に鼻が大きくなっているんです。鼻の巨大化は、骨が萎縮して起きる“老化現象”のひとつなんです」
そう話すのは、美容皮膚科医師の友利新先生。骨の萎縮と鼻の巨大化は、どのような関係があるのだろうか。
「鼻は、頭蓋骨の中心にある空洞の上に鼻骨と薄い皮膚と軟骨がのり、それを皮膚で覆う形でつくられた器官です。年齢を重ねて骨の量が減少すると、鼻がある頭蓋骨も萎縮して空洞が広がります。
その結果、空洞と一緒に鼻も横に引っ張られていき、小鼻が大きく広がってしまうんです。さらに40代以降は肌のたるみも加わって、よりボテッとした印象になる、と考えられています」
特に、閉経した女性は女性ホルモンが減少して骨の量も少なくなるため、頭蓋骨の空洞も大きくなりやすいという。
骨が減るのは老化現象なので、年を取れば誰しも鼻が大きくなるが、「団子鼻やわし鼻などもともと目立つ鼻の人は、より強調されてしまいます」と、友利先生。
「鼻は顔の中心にあるため、その人の印象を左右するパーツでもあります。一般的にはあまり目立たず、特徴のない鼻が“美しい鼻”といわれているんです。
若いころから鼻が目立たない人は、加齢で鼻が大きくなっても気づかれにくい、という特徴がありますね。ただ、顔の美しさは全体のバランスで考えるものなので、鼻の形や目の大きさなど、パーツだけで判断するのは禁物。
個性的な鼻がチャームポイントになっていたり、大きな鼻でバランスが取れている顔の人もいるので、鼻の造形にとらわれすぎないようにしましょう」(友利先生、以下同)
また、近年の“マスク生活”も鼻に注目が集まりやすい環境になっているという。
「私たちはマスクをしている顔を見ると『この人は鼻の存在感がなく、口元もキレイなはず』と、隠れている部分を勝手に補正して全体像を想像します。
そのため、マスクを外したときに、本来の顔を見ると『鼻が大きい!』と感じたり、想像と違ってガッカリしたりしてしまうんです」
それは自分自身に対してもいえるという。自分のマスク顔に見慣れてしまって自分自身を美化しているので、余計に鼻が大きくなったように感じてしまうこともあるとか。
「ちなみに、マスク生活でよく耳にしますが、長い間マスクをしていても、鼻が低くなったり、大きくなったりと、骨格が変わるようなことはありません」
なお、手足の先端や鼻、顎など身体の一部が大きくなる「先端肥大症」などの病気の場合もあるので、変化が気になる場合は病院の受診を。