1日1万歩。ウォーキングで良しとされる基準だ。しかし、歩数より「速さ」と「歩幅」が大事と、74歳の現役医師は身をもって実証している。いつもより少し速めに歩く、少し遅めに歩く、たまに歩幅を大きくするこの3つを繰り返すだけ。時間がなければ3分の「手抜き歩き」もOK。今日から始められる超効率的ウォーキング!
手軽にできる健康法『ウォーキング』。かの木村拓哉も愛犬の散歩がてら連日1万歩近く歩き、《今日も、撮影終わりに8500歩》《帰宅の後に9800歩》などとインスタグラムに投稿している。
1日1万歩は歩きすぎの可能性も
ウォーキングの健康効果は大きく、アメリカ・ハーバード大学医学大学院の研究によると、1日あたりの歩数が増加するにつれて死亡率は減少。また高齢女性においては、1日の平均歩数が4400歩とさほど多くない場合でも、1日2700歩の人に比べると死亡率が41%も低い結果になったという。
『1日1万歩』は、ウォーキングにおいて目標値として掲げられることが多い。木村が日々数千歩歩くのもこの“基準”を意識してのことだろう。しかし、じつはウォーキングにおいて1万歩は必要ないという。
「むしろ歩きすぎの可能性もあります」
そう話すのは、74歳で現役医師の鎌田實先生。鎌田先生自身、ウォーキングを日課とし、体重は8キロ減、血圧・血糖値・腰痛・不整脈の改善といった効果を実証している。
「歩きすぎると疲労が身体に残り、免疫機能が低下。無理な動きすぎは活性酸素を生み、老化を早め、かえって病気になりやすくなってしまいます」(鎌田先生、以下同)
研究によると、歩数と健康効果は正比例。しかし、8000歩からは健康効果の向上は見られず、1万2000歩以上はむしろ腰痛や膝痛などマイナス面が見られた。前出のハーバード大の歩数と死亡率についての研究でも、1日7500歩を超えると変化が見られなくなっている。
「私は、おおよそ1日8000歩程度がベストと考えています。ただ……」
1万歩というと“そんなに歩かなきゃいけないの?”と思う人は多いだろう。そして8000歩もそれと“たいして変わらない”という人も。しかし案ずることはない。
「ウォーキングで8000歩を歩こうとしなくても構いません。買い物や通勤などの日常生活のなかで、多くの人はすでに6000〜7000歩は歩いているからです。足りない1000〜2000歩ほどを補えば十分。時間にして10〜15分程度です」
そのうえでより効果的なウォーキングがある。
「私が実践しているのは『速遅歩き』ウォーキングです。漠然と歩くウォーキングに比べて、短時間ではるかに多くの健康メリットが得られます。やり方は“速歩き”と“遅歩き”を交互にするだけです」
歩く速さを変えるとなぜ良いのか。
「スピードに抑揚をつけて歩くと、短時間でも効果的に有酸素運動ができ、心肺機能を高めることができます。筋肉がしっかり働くので筋トレの効果も得られます」