《駐車場こんなに空いてるのになんで!?》《快適な新幹線の旅の予定が最悪》《なんで隣の席とるの?映画に集中できない》
これらはすべて“トナラー”被害者たちの声である。トナラーとは、選択の自由があるとはいえ、わざわざ“隣”に陣取ってくる人のことを指す。SNSを中心にトナラーという呼称が浸透していたが、ここ最近ではテレビのニュース番組やダウンタウンの松本人志などがその被害を取り上げたことでメジャーな言葉に。
「松本さんは番組内で映画館の他に、男子トイレで横に来る人、駐車場で隣に止める人などを指摘しました」(テレビ誌ライター)
隣に来たからといって、それ自体はなんの犯罪でもない。それでも不快に感じる人は多く……。
《まただよ、なんでここ停める? 明日こそトナラー突き止める》
ツイッターには、ガラガラの駐車場で2台の車がぴったりと横並びになっている写真とともにこう投稿されていた。週刊女性は投稿主のA子さん(30代)とともにトナラー直撃に同行することに。
運転手は女性「不思議に思った──?」」
A子さんはスポーツジムの駐車場に毎朝9時に駐車。昼12時に駐車場に戻る。戻ったときには必ず赤色のレクサスが横並びしているという。A子さんは、
「最初は出入り口に近いからかなと思って、場所を移動したらその車も移動してきて、どこに移動しても必ず隣に止められているんです」
A子さんに嫌がらせをするのは、いったいどんな人物なのだろうか。1時間ほど車内で待ち、戻ってきた運転手はなんと初老に近い女性。
─あの、なんでいつもここに止めているんですか?
「ごめんなさいね、不思議に思った?」
─あ、はい、ちょっと、でも、すみません。変な男性なのかと思っていて……。
「私、自分がどこに駐車したかを覚えられなくて、他の車の目印があると助かるの。あなたの車、青色で目立つし、いつも朝からあるので助かっています」
と、笑顔で去っていった。
A子さんは、
「すっきりしました。人助けになっていたなんて思いもしなかった」と安心した様子。
今回はたまたま良いケースだったが……。
心理カウンセラーの小日向るり子さんにトナラーの心理を聞くと、大きく分けて3つのパターンがあるという。
「1つはこだわりが強い人。気に入っている席に座りたいとか、座席では自分のラッキーナンバーを譲らない。空間認識よりもまず番号だけに気をとられているので、隣の人が気分を害しているなどはまったく考えていない」
続けて2つ目、3つ目のパターンをあげる。
「薄暗い場所や自分が初めて行く場所だと身近に人を感じたいという自己防衛から隣に来るという心理も。3つ目は、心理傾向ではなく、不安障害などの病気の場合もあります」
トナラーには悪意がない、のかもしれないが、不気味な存在なのは間違いない。