目次
Page 1
ー 肩まであった髪が丸刈りに
Page 2
ー 「本当は会社員になりたかった」
Page 3
ー 数年前に“自己破産”
Page 4
ー 仕事終わりの“プチ贅沢”

「調子に乗っているからこそ、今しかないでしょ。挑戦的なことをするの。それで、落ちたら落ちたでしょうがない。けど、今の時期に調子に乗れなかった言い訳みたいなことをつくりたくない」

 こう番組の最後に話していたのは、大浦きららさん。'17年2月に放送された人気ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』フジテレビ系)に登場した人物だ。

 肉体的には男性だが、性自認は女性である彼女は、放送当時450万円の借金を抱え、家賃2万9000円のアパートに暮らしていた。解体現場での肉体労働に従事し、年収は200万円ほど。しかし、そのほとんどが借金返済に消えていた。鳥のエサとして売られている“くず米”を食べる様子は衝撃だった。

肩まであった髪が丸刈りに

 困窮する生活の一方で、きららさんは地下アイドルとしての活動をしていた。彼女がひたむきに生き方を模索する姿には、胸を打たれた人も多いはず。あれから6年、彼女は今、どうしているのか。取材を申し込み、話を聞いた。

「きららと申します」

 8月末、待ち合わせ場所に現れたきららさんは、想像よりも小柄だった。肩ほどまであった髪はなく、丸刈りに。いったい彼女に何が……。

'19年の6月に髪を切ったんです。精神的に落ち込んで、“気持ち悪い”などと私を批判する人の声ばかりが耳に入る時期があって、その時に“いくらキレイになろうとしても無駄なんだ”と思い……。また、今はスーパーの棚卸し、運送会社での仕分け、イベント会場での準備設営など、さまざまな単発の日雇い仕事をしているのですが、就労条件に短髪黒髪と書いているところが多かったことも重なり丸刈りにしたんです。髪が長いとシャンプー代がかかるというのも理由のひとつでした」