ダイエットに必要不可欠だと思われがちな食事制限。いざ始めても「つい食べすぎちゃう……」「もっと食べたいのに」とストレスがたまる人も少なくないはず。糖尿病の名医は「“血糖値の乱高下”こそが大敵。そのためには食ベることが大切」と言うが―。
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「つい食べすぎてしまう」「やせたいのに食事の量を減らせない」と悩む人にこそ、おやつを食べてほしい─。
そう話すのは、糖尿病専門医の玉谷実智夫先生。おやつを食べたら逆に太りそうだが、一体どういうことなのか。
強い食欲は血糖値のせい
「食べすぎは、“意志の弱さ”によるものと思いがちですが、我慢できないような強い食欲というのは、意志に関係のない身体の仕組み、つまり血糖値と脳の働きにあります。食べすぎなどで糖質をとりすぎると、血液中のブドウ糖濃度=血糖値が急上昇します。すると脳は血糖値を正常に戻そうとして、血糖を下げる働きのあるインスリンホルモンを必要以上に分泌させ、今度は血糖値が下がりすぎてしまうことに。
エネルギー源であるブドウ糖の大幅な不足は生死に関わるため、脳は焦って、たくさんブドウ糖をとりなさい!と指令を出します。実はこの血糖値の急降下による脳の反応が、強い食欲の正体。食欲を弱めるには、血糖値の激しい波、乱高下を起こさないようにコントロールすることが大切です」(玉谷先生、以下同)
そこで有効になるのが、おやつだという。血糖値が下がりすぎた状態で食事をすると、かえって食欲が強くなって食べすぎてしまい、血糖値の乱高下を引き起こしてさらに強い食欲に襲われる悪循環を生んでしまうのだ。
「そうした悪循環を止めるため、血糖値が下がりすぎないように食事と食事の間におやつを食べてほしいのです。目安は、食後血糖値が落ち着いてくる2~3時間後。昼食をつい食べすぎてしまうという人は朝食後に、夕食の量が多くなりやすい人は昼食後に食べるのがおすすめです」