法言語学者で明治大学教授の堀田秀吾教授による「科学的に元気になる方法」。今回は、偽物のブランド物を身につけることで起きる心理的な影響を科学的に分析! 果たしてその結果は……?

【今週のエビデンス】
「偽物のブランド品を身につけていると誠実性がなくなっていく」

(ハーバード・ビジネス・スクール ノートンらの研究)

ポジ子:じゃーん! 先生、このサングラス、どう?

堀田:……(言わないとシメられそうな圧力だな)

ポジ子:なんか言ってくださいよォ!

堀田:に、似合っていると思うなぁ。

ポジ子:でしょ~♪

堀田:この前行った上海旅行の戦利品ですか? ブランド物のサングラスっぽいけど、見せてもらってもいい?

ポジ子:気安く触らないでください! 高価なものなんですから!

堀田:ふ~ん。「お金がない」とよく口にしているけど買ったんだ?

ポジ子:ギ、ギクリッ! 旅の記念というか……なんですか、その怪しい目は!?

堀田:ハーバード大学の経営大学院であるハーバード・ビジネス・スクールが「偽物のブランド品を身につけていると誠実性がなくなっていく」という面白い研究結果を公表しているんだよね~。

ポジ子:#$%&△%ッ!

堀田:どうしました? 実験では、本物のブランド品のサングラスをかけさせたAグループと、本当は本物なのに「偽物」とあえて伝えて同じサングラスをかけさせたBグループを比較したんだ。

ポジ子:で? それで!?

堀田:……ポジ子さんのは本物なんでしょ?

ポジ子:えぇぇい! 早く続きを!

堀田:その間、さまざまな質問を両グループにしたんだけど、なんとBグループの実に約7割は、質問に対するコメントの内容に誇張表現や大げさな言い回しを使ったそうだ。

ポジ子:い、いつもより顔が隠れているから自信が持てて誇張したのでは……。

堀田:と、思うでしょ? でも、サングラス以外にも宝石や洋服などでも試したんだけど、やはり同様に見栄を張る傾向にあったんですよ。ところで、ポジ子さんは上海のどのエリアのどんなお店で買ったの?

ポジ子:いちばんの目抜き通りのとても観光客が訪れる……すごく有名な場所ですよ! 誰でも知っているデパート!

堀田:“すごく”“誰でも知っている”。ふむふむ、具体性のない誇張表現ですね~。

ポジ子:じ、自分が知らないからってひどすぎます!

堀田:ちなみに先の実験、「偽物のブランド品を身につけていると攻撃的になる」というデータも出ています。今、攻撃的になっていましたよね!? ……いい加減、吐いたらどうですか?

ポジ子:ぐぬぬぬぬ、ストリートの露店で500円くらいで買いました! 本物は高くて買えないよ~(泣)。

堀田:素直がいちばん(ニッコリ)。誰かにツッコまれるとバレないようにウソの上塗りが始まり、いつしか虚栄心まみれになってしまう。

ポジ子:そのとおりですね。

堀田:攻撃的になるという話の続きですが、「相手グループの中のどれくらいの人が不道徳なことをやりそうですか?」と質問したところ、AよりもBグループのほうがその数を多くあげたそうです。ウソをついている自分に後ろめたさがあるから、冷めた目で見てしまうんでしょうね。

ポジ子:さっき友達からサングラスを褒められたんですけど、「偽物なのに何を言ってんだか」って冷めた自分がいて。今の話を聞いて、自分がさもしくなっていることに気がつきました。

堀田:それに気がついただけで十分です。他人は騙せても自分は騙せない。どうせなら正々堂々と生きたいよね。偽物はパロディーなどの笑えるレベルで! 等身大の自分で勝負しよう!

<プロフィール>
堀田秀吾(ほった・しゅうご) 1968年、熊本県生まれ。明治大学教授、法言語学者。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく多角的な研究を展開。「学び」×「エンタメ」をライフワークとし、法律事務所や芸能事務所の顧問も務めるなど多岐にわたって活躍中。近著に『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)がある。学びのアイドル「まなドル」の番組ではプロフェッサー・アロハ名義でMCも担当する堀田先生。詳しくは、Twitter :@syugo_h をチェック!

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