しかも、コストコが日本に上陸した18年前とは著しく消費環境が変わっているのはネットショッピングの隆盛で、最安値はネット検索で簡単に見つかり、しかも、かさばるものや重いものは自宅まで届けてくれる。安さ面だけで考えれば、コストコがいまだに根強く支持されるのは不思議な気がしていた。
しかし、この大容量のスケールが、割安だと感じさせる要因のひとつであることは間違いない。ではその割安、本当にトクなのだろうか。
割安=必ずしもオトク買いとは言えない理由
セオリーどおりにいえば、割安は必ずしもオトクとは言えない。その理由はこうだ。
(1)どの程度安いのか、一見イメージしにくい
大量買い=割安になるという図式は正しいとしても、それがどの程度オトクかは一瞬ピンと来ない。大量になればなるほどそうなり、これは買いなのかそうでもないかのジャッジは難しい。
たとえば、パスタ5キロ入りが870円、という値段がついていたとする。これを見て安いとすぐに判断できるだろうか。通常スーパーなどで売られているメーカーのパスタ1袋は500グラム入りが多い。5キロということは10袋相当となり、1袋当たりで計算すれば87円になる。
1袋100円を切る価格はかなり安い。同じ価格なら6キロ入りで1044円という計算になるが、こうしたキロ入りの袋を前にして、暗算がつねにぱぱっとできて、お得かどうか即座に判断できるだろうか。
(2)適正な量以上に買ってしまう
食べきれない量、使い切れない量を買うと、残念ながら廃棄したり、人にあげたりすることになる。有効に使いきれないなら、それは払ったおカネのムダになる。もっとまずいのは、もったいないと無理やりお腹に収めて、あとからダイエットに悩むケースだ。
1袋50個入りの餃子を見て、これだけの数が最終的に家族の胃袋に入るのだと思うとげんなりする。また、買ってきた後の収納場所にも頭を抱えるはめになるので、ここは慎重にしたい。
(3)無駄に使いすぎる
(2)とも関連するが、大容量のものを買い、在庫があると気が緩み、人間はつい使い過ぎるものだ。家に30ロールもトイレットペーパーがあれば節約しようとはなかなか思えない。大量に買うとつい消費するスピードが速まり、安く買っても節約効果が薄れる。