ドラマでは重宝する“ゆとり世代”

 ある意味、合理的ともいえるゆとり世代。コラムニストのペリー荻野氏は、彼らがドラマで悪いように描かれているのには、テレビ局側の狙いがあると語る。

ゆとり世代は、いちばん“テレビ離れ”と呼ばれる世代なんですよ。物心ついたときからネットが普及していた世代ですから、テレビをほとんど見ません。そういう育ち方をしている人たちを、テレビを見るように引っ張り込む作戦のひとつだと思いますよ。

 ゆとり世代をドラマで取り上げると、怒る人も多い。そういう反響があるということは、番組を作る側からしたら勝ちです」

 ストーリーを作る観点でも、実はゆとり世代は重要な役割を担っているのだそう。

「上司との飲み会に付き合わない、指示待ちするなどキャラがわかりやすいので、世代間のギャップを描きやすいのです。

 例えば、『ドクターX』でいうと、ガンガン出世することを目標にする西田敏行さん世代、少し斜に構えたアラフォーくらいの米倉涼子さん世代、そしてゆとり世代の三層で描かれています。それぞれの価値観が異なり、キャラが立ちやすくなるんです。

 『コード・ブルー』では、若手医師3人は物語が進むごとに成長しました。キャラクター像がしっかりしているので、変化もわかりやすいです」(ペリー荻野氏)

 ゆとり世代がいるとドラマのカラーをはっきりと出すことができ、上の世代と対比しやすいので重宝されている。

 しかし、原田氏によると、ドラマ内の姿は実際の若者と大きくかけ離れているという。

「正直なところ、ドラマでは今の若者ではなく、ひと昔前の団塊ジュニア世代が若いころの姿を、今の若者のダメな姿として描いているように思います。ひと昔前の若者は、“メモを取れ”と言われると、“記憶しているのでいいです”と反抗的、挑発的でした。

 日本全体が高齢化していることで、ひと昔前の若者像を描いたほうが“今の若者ってダメだよね”と視聴者の安心感を得られるのでしょう。実際の若者像を描かないほうが、共感を得られるのかもしれません」