では、がん以外の病気はどうだろうか。
「例えば、声優の鶴ひろみさんが亡くなる原因となった大動脈解離は、交通事故のようなもの。血中脂肪や頸動脈エコーでは、この病気のリスクを知ることはできません。
星野源さんやKEIKOさんを襲った、くも膜化出血も同じといえます。原因と考えられる脳動脈瘤の有無は脳ドックを受ければわかりますが、破裂予防のための手術もリスクが伴います。何でもかんでも検査を受ける必要はないし、何でも治せるわけではありません」
人間ドックの賢い選び方
それでも医師たちが検査をすすめるのは、早期発見ができ、治療法が確立している病気を見つけだすことができるからだ。そこで植田さんは、
「40歳を迎えたら人間ドックを受けてみるといいと思います」と話す。
「ただし、お金がかかることですし、身体への負担もゼロではありません。自分に合った検査選びが重要になってきます」
健康状態や病気の有無を調べる検査は、大きく3つに分けられる。
「地方自治体や企業が行う健康診断、病院に併設された人間ドック、それから不調に伴い病院を訪れるなどして個別に行う検査です。人間ドックと個別検査は保険適用外となり、自費となります。
ただ、人間ドックは健康保険組合などから補助金が下りる場合もある。健康診断はベースとして毎年受けて、40歳を目安に、人間ドックや個別検査を考えるのがいいでしょう」
どんな検査を、どのタイミングで受けるべきか。家族が賢く選ぶには、どうしたらいい?
「遺伝、体質、リスクを考慮して選びましょう。血縁のある家族(両親、祖父母、兄弟姉妹)の病歴をピックアップして、家族がかかったがんの検査は優先的に行いましょう。
また、故・川島なお美さんのように“ワインで身体ができている”というほどお酒を飲むなら、消化器系のがん検査。タバコを吸う習慣があるなら肺がん検査など、生活習慣によるリスクの高さから検査を選ぶのがポイントです」
受診する年代によって方法を変えたほうがいい検査もある。乳がん検診が代表例だ。
「乳房専用のレントゲン検査を行うマンモグラフィーは、しこりが白く映ります。しかし、乳腺が発達している20~30代は乳腺が白く映り、しこりが見つけにくいという難点があります。20~30代はエコー検査や視触診を中心に、40代以降からマンモグラフィーを受けることをおすすめします」