まず、島の東北部に位置する『東牧場』で“与那国馬”と触れ合われた。
「最初に与那国馬のおとなしい性格や在来馬であることをご説明いたしました。
ほかにも観光乗馬や、本島では障害者乗馬としても使われていることをお話しすると、美智子さまが、“イギリスで障害者乗馬を見たことがある”と、おっしゃっていましたね。
ご興味がおありだったのか、ほかにもいくつかご質問をいただいて、予定の時間をオーバーしたほどでした」
そう話すのは、このときにおふたりを案内した西山博史さん(38)。
陛下は幼いころ、宮古馬に乗ったことがあるそうで、当時を思い出されていたのかもしれない。
ご昼食のあとの与那国町内にある久部良小学校では重要無形文化財の『棒踊り』を鑑賞された。
このときの両陛下のご様子を、『与那国町伝統芸能伝承保存会』副会長の田頭政英さん(73)はこう語る。
「棒踊りというのは、小刀と普通のものよりも大きい2メートル弱の“なぎなた”を組み合わせた独特な踊りなので、演舞の前に1分ほどご説明させていただきました。
“この踊りは約300年前からあるんですよ”と申し上げると、両陛下はとても驚かれていましたね。
2つの演目で約9分間の演舞でしたが、以前から棒踊りに関心をお持ちになっていたようで、とても興味深そうにご覧になっていました」
美智子さまの「神対応」とは
踊りが終わると、美智子さまは予定外の“神対応”をとられたという。
「棒踊りが終わったあと、演目に参加した計12名に、両陛下から近寄ってお声がけを始められたのです。
地元の小学生には、“どうでしたか、うまくできましたか?”とか、“よく踊れましたね。長い間、練習したんでしょう。疲れなかった?”と、とても優しい笑顔で皇后陛下が話されていました。
その後、太鼓を受け持った演者たちにも、ひとりひとり、ねぎらいのおことばをかけていて、みんな感激しっぱなしでした。
しかも、このお声がけは予定になかったものだったそうで、演者たちも“驚いちゃった!”と話していましたよ」(田頭さん)
ほかにも日本最西端の碑がある『西崎』や、地元の漁業組合でクロカジキをご覧になるなど、計5か所を見て回られた。