物やサービスを購入しないで誰かと共有して利用する“シェア”が、今、日本中で広がりを見せている。そうした貸し借りによる経済の動きを“シェアリングエコノミー”と呼ぶ。
自分が利用者にも提供者にもなれる
内閣官房シェアリングエコノミー伝道師の石山アンジュさんによると、
「シェアリングエコノミーでは、物や場所、乗り物、スキルや時間……あらゆるものを貸し借りしたり、売買しています。実は人気フリマアプリ『メルカリ』もこのひとつなんですよ」
今まで、物やサービスの多くは企業から購入し、買った個人がそれを利用する仕組みだった。
「いうなれば、企業任せでした。でもシェアリングエコノミーでは、企業はあくまで仲介役。インターネットを介して、個人と個人の間でやりとりが行われるのが特徴で、自分が利用者にも提供者にもなれるんです。
例えば、昔は近所でしょうゆの貸し借りが自然と行われていましたよね? それがネットの登場によって多数の個人とつながれるようになり、しょうゆの貸し借りを100人、1000人、海外の人ともできるようになったイメージです」
何かを借りて利用するなら、いわゆるレンタルサービスと変わらないのでは?
「確かにシェアとレンタルは、違いがわかりにくいです。例えばシェアリングサービスの中には、個人間のやりとりだけではなく、企業が個人にサービスを提供しているものもあります」
レンタルサービスの場合は何か問題が生じたら企業が補償してくれるが、個人間でやりとりするシェアリングサービスでは、自己責任となる。
「ゆえに、お互いの信用が必要不可欠。多くの関連サービスでは、提供者と利用者が評価し合うシステムを取り入れています」