「献立、何にしようかしら?」と日々足を運ぶスーパー。以前は激安を売りにする時代もあったが、近年その傾向が変わってきている。
「高齢者や単身世帯、共働き世帯が増えていることにより、スーパーでは数年前から惣菜に力を入れるようになり、売り上げが伸びています。
以前であれば、“スーパーのお惣菜はあまりおいしくない”というイメージを持つ人もいたかもしれませんが、いまではレストランレベルの味わいを提供するスーパーも増えていて、その惣菜を求めに遠くから足を運ぶ人もいます」
こう教えてくれたのは、スーパーマーケット研究家の菅原佳己さん。特に化学調味料を使わない健康志向の商品や、焼きいもなど「作りたて」の惣菜の売り上げが伸びているそう。
店の食材を使っての料理提供
「惣菜の味がいいのはもはや当たり前で、コンビニでは購入できない、“手作り感”や“家庭の味”が、単身世帯や共働き世帯に求められ、うけているのです」(菅原さん、以下同)
惣菜の売り上げの増加に伴い、購入した商品を食べてもらうためのイートインコーナーを活用するスーパーも増えているが、さらにここ数年は進化して、レストランやバーなどを併設する「グローサラント化」の傾向が見られるようになっているという。
グローサラントとは、スーパーマーケットを生み出したアメリカでいまトレンドの新業態。店内にあるレストランのような場所で、店の食材を使って調理した料理を食べられる仕組みのこと。
日本でのグローサラント化の先進企業は、東京や関西を中心に展開する高品質スーパーの『成城石井』。
例えば、東京の『トリエ京王調布』では、惣菜とカフェのバックヤードを共有。カフェメニューで使用されている食材の約90%がスーパーで販売している上質な素材を使ったものだ。