朝の空気と太陽の光で心と身体に効く
ボディスキャン瞑想
瞑想と聞くと、目を閉じてあぐらをかいて座禅のようなポーズをとる少々、堅苦しいイメージが浮かびがち。しかし、マインドフルネス瞑想は決して形式ばったものではないと奥田先生。
「鼻先の呼吸に意識を向けるのをはじめ、食べながら、歩きながらなど、さまざまな瞑想法があります。要は五感を利用して、さまよい歩いている心を“今、ここ”に戻すということ。不安やイライラを感じたときはもちろん、ふとしたときに行うことで、ITデトックスやコミュニケーションデトックスにもなるなど、いいことが多いので、まずは1日1分間、ご自身のやりやすい場所やタイミングで取り入れてみましょう」
頭スッキリ! ボディスキャン瞑想
朝日を浴びながら、丁寧に身体の感覚に意識を向けていくことで、心を今ここに戻す瞑想効果はもちろんのこと、身体との対話効果も。普段は無視している身体に生じているこりや緊張など微細な感覚に気づいたら、その都度緩めてみたり、痛みや冷えに気づいたら瞑想後にケアをしてあげましょう。時間がないときは上半身や身体の一部分のスキャンだけでもOK!
(1)窓辺に立つか座って自然光をしっかり浴びる。
(2)目を閉じ、頭→顔→首→肩→背中→腹部→おしり→足と順に身体の内外の感覚に意識を向けていく。
(3)太陽光を頭のてっぺんから取り込み、身体のすみずみを照らしながら、微細な感覚をスキャンしていく。
※身体の表面の皮膚や筋肉、脳、内臓などに意識を順々に向けていくとよい。
(4)こわばりや緊張、こりなどの不快な感覚に気づけば、呼吸とともに緩めてみる。
食べるときのお手軽瞑想
食べ物を食べながらでも、マインドフルネス瞑想は可能。例えばイチゴなら、「イチゴを食べます」と心の中でつぶやいてからイチゴを手に取り、まず色や形をしげしげと眺める。次に香りをかぐ。甘酸っぱい香りを胸の奥まで吸い込んでから口に入れ、イチゴと触れた舌や粘膜の感覚を感じる。さらにゆっくりイチゴを噛んで、その歯ざわりや口の中に広がる香りや味を感じる。さらに咀嚼(そしゃく)しながら歯ざわりや味の変化を感じたあと、飲み込んで瞑想終了。視覚、嗅覚(きゅうかく)、味覚、口の中や舌の触覚をフル活用して「気づき」を追加していくのがコツ。
<プロフィール>
奥田弘美さん
精神科医、産業医(精神保健指定医)、作家、日本マインドフルネス普及協会代表理事。精神科医と18か所の企業の嘱託産業医を務めながら、作家として執筆活動も行う。マインドフルネス瞑想の普及活動もライフワークとしている。著書に『ストレス・疲れがみるみる消える! 1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジネントセンター)など。
(取材・文/當間優子)