効果的な治療・予防法は?
初期症状に乏しい糖尿病は検診で調べなければ見つからない。早期発見で治療につなげることが重要だ。
糖尿病は治療・予防ともに「食事療法と運動が基本です」と井上先生。
「食事療法と聞くと糖質制限を想像するかもしれませんが、大事なのはバランス。私のクリニックでは、総カロリーの55%は糖質でとるよう指導しています」
食事量の目安は、職種や運動量によって変わるものの、体重1キログラムあたり25~30キロカロリー。例えば、体重50キログラムで家事中心という生活の場合、1日1500キロカロリー程度になる。
「とり方にもコツが。ホルモンの影響で代謝が低下する夜は太りやすい。夜の食事量を少なくしましょう」
忙しいと、ついやってしまいがちなドカ食いも厳禁。
「空腹時にお米などの糖質を急にとると、血糖値が急激に上がりインスリンが一気に放出されて、すい臓の疲弊につながってしまう。これを防ぐには、野菜から食べて血糖値の上昇をゆるやかにする“ベジファースト”を心がけましょう」
運動も欠かせない。インスリンの分泌を促進させる効果があるからだ。
「階段を使うこと。散歩も2割ほど脈が上がる程度の早足がベストです」
最近は、糖質を尿にして体外へ排出するSTLG2阻害薬という画期的な新薬も登場、体重管理が比較的楽になりつつある。
「まずは、なんでも相談できて身体のことを知っている、かかりつけ医を持つことをおすすめします」
糖尿病の主な合併症
【3大合併症】 糖尿病網膜症……高血糖状態が続くことで目の中にある網膜の血管が損傷を受け、出血や視力低下を引き起こす病気。失明の大きな原因に。
糖尿病性腎症……糖尿病によって腎臓の毛細血管がむしばまれ、身体の老廃物を尿として排泄する機能が失われる病気。透析治療が必要な場合も。
糖尿病神経障害……高血糖により手足の神経に異常をきたし足の先や裏、手の指にしびれや痛みが出現。進行すると足の組織が死んでしまう可能性が。
【その他】
高血圧、脂質異常症、骨粗鬆症、歯周病、脳梗塞、狭心症・心筋梗塞…etc.