「この面談で“不可”となるケースもあります。私どもだけが断るわけではありませんが、実際ご縁ができるのは約6割の方です」
そう言うのは、東京キャットガーディアン代表の山本葉子さん(58)だ。
「基本中の基本が、終生飼育してくれること、そして完全室内飼育です。たまにいらっしゃるのが“以前飼っていた猫は室内外飼育だったので”、と言われる方。“猫は外に自由に出られなきゃおかしい”と喧嘩腰の年配の方もいます。その場合も、丁重にお断りします。ここから知らない場所に行く猫にとって、“外”に出されることは捨てられたのと同じなんです」
猫にしてみれば、まったく知らない町で地域猫たちの縄張りにほっぽり出されたら危険でしかない。それでも、「猫は外に出ても夜には餌を食べに戻ってくるものだ」というイメージはなかなか根強いのだ。
面談を担当したスタッフの村上晃清さん(50)が言う。
「ご家族のなかで、適正な方もいるし、厳しい方もいる、というケースは悩ましいです。例えば、大家族でおじいちゃん、おばあちゃんの脇が甘く逃してしまいそうなケースはけっこう多いですよね」
面談を受けた20代後半のカップルに話を聞くと、
「どうせ飼うなら保護猫と決めてました。アレルギーのこととか、こちらが考えてもいなかったことまで聞かれるので驚きました。でも、それだけ猫のことを大事にしてるんだなと感じましたね」
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ペットフード協会の調査によると2018年の猫の飼育頭数は全国で約965万頭、犬の約890万頭を上回り、猫ブームが続いている。
環境省の調査によれば、'18年度に動物愛護センターが引き取った猫は約6万2000頭。譲渡された猫が約2万6600頭、そして約3万5000頭が殺処分されている。
それでも'89年(平成元年)の引き取り頭数は34万頭で殺処分33万頭だった。明らかに譲渡数が増加し、殺処分が減少している実態がわかる。
東京キャットガーディアンは、'08年に任意の保護団体としてスタートし、'10年4月には特定非営利活動法人(NPO法人)を取得した。
譲渡事業のほか、飼い主のいない猫のための不妊去勢手術専門の『そとねこ病院』も運営している。
これまでに6700頭を超える猫を譲渡し、9050頭以上の猫の不妊去勢手術をしてきた実績がある。
山本さんはこう言う。
「世の中に足りないのは、愛情ではなくシステム。ペットショップやブリーダーから購入する以外に、民間の保護団体から猫を譲り受けるというルートを社会に定着させたいと思っているんです」