日本人の平均寿命はどんどん延びて、 '17年には女性が87・26歳、男性は81・09歳(厚生労働省調べ)に。「人生100年時代の到来!」と喜びたいところだが、話はそう簡単ではない。話題のベストセラー『未来の年表』の著者でジャーナリストの河合雅司さんに、日本の未来予想図を女性目線で描いてもらった。
介護問題に多くの人が直面する
「日本は激変期に入っています。原因は少子高齢化。働き手であり、社会保障の担い手である現役世代の割合が減ることで、経済はもちろん、地域社会も家庭の中も、これまでのやり方が通用しなくなります。
今後、日本に起きる変化を具体的にあげていくと、まず3年後の2022年には団塊の世代が75歳を越える。このころには、その子ども世代である団塊ジュニアも、50代を迎えるわけです」
人口の多い世代が一斉に介護の問題に直面し始めているのだ。
「晩婚化の影響で、団塊ジュニアをはじめとする子ども世代は、40代から介護が始まる人や、育児と介護のWケアを余儀なくされている人も少なくありません」
介護の担い手不足を介護保険で補えると考えてはいけない。社会全体で介護を、という理念で始まった介護保険制度だが、高齢者が増えたことで介護保険の財政はパンク状態。
そのため、国は徐々に家族で介護するような政策に転換しつつある。
「働きながら介護をする人がその両立ができず仕事を辞めざるをえない介護離職は、すでに大きな社会問題になっていて、その数は年間10万人におよびます。40代以上の人は、親が要介護状態になったらどうするのか。公的な介護サービスは使えたとしても、それ以外の費用はどうするかなど、親が元気なうちからコミュニケーションをとっておくことが大切です」
日本経済全体でみても、高齢化の影響は大きい。
「消費の盛んな現役世代が減ることで、日本の国内マーケットが縮み、今までのような経済成長が見込めなくなります。また、消費者が高齢化すれば、好みが変わるし、消費量も変わります。ニーズが多様化することで、大量生産・大量消費という、これまで日本が得意としてきたビジネスモデルが通用しなくなるでしょう」