人にはなかなか言えない下半身の悩み。実はその悩みに、人類の進化の欠点が関わっていました。いますぐできる簡単な改善ワザもご紹介します!

おしっこの悩みは
進化の失敗が原因!?

 尿漏れや残尿感、下腹部の違和感などの下半身のお悩み。実は、これらが起こる背景のひとつに、人類の“身体の欠点”があることが明らかになってきました。

 最先端の科学とユニークな実験で日常の疑問を徹底的に調査するNHKの人気番組『ガッテン!』では、その欠点をひも解くカギである「骨盤」に注目しました。

 人類がまだ四足歩行だったとき、大腸やぼうこうなどの内臓は、背骨にぶら下がっていました。しかし、直立して二足歩行に進化を遂げると、内臓はその下にある骨盤の穴に向かってずり落ちるような位置関係に

 これに加えて、進化とともに人間の赤ちゃんの脳(頭部)が発達し、出産の際に大きな頭が通過できるよう骨盤の穴が巨大化、内臓がさらに骨盤の底に向かってずり落ちやすくなり、その結果、底の部分で内臓が押し合って形が変わりやすくなりました

骨盤底筋を鍛えて改善!

 内臓のなかでも骨盤の底のほうにあるのが、おしっこをためておく「ぼうこう」です。ぼうこうがずり落ちて変形すると少し身体に力が加わっただけで尿漏れを起こしやすくなったり、逆にうまく尿を出しきれずに残尿感を感じたりしてしまいます。また、ぼうこうが変形した部分を異物として感じるようになることも。

 とはいえ、こうした不快な症状は、出る人と出ない人がいます。その差は何なのでしょうか。

 実は骨盤の底には、骨盤内の内臓を支えている「骨盤底筋」という筋肉があります。骨盤底筋がピンと張りのある状態であれば、ぼうこうが骨盤の底にずり落ちる心配はありません。ところが、加齢にともない骨盤底筋がたるんだり、出産によって傷ついたりすると内臓を支えられなくなり、ぼうこうの位置が下がります。すると、尿道につながるぼうこうの出口が広がったりして尿漏れや残尿感などを起こしやすくなるのです。

 そんなリスクのある人でも、骨盤底筋を鍛えれば、症状を改善できる可能性が。番組でおすすめしたのは下の内臓リフトアップ体操です。誰でも簡単にできる体操なので、ぜひ試してみてください

 なお、尿漏れや頻尿などの排尿トラブルは、「過活動ぼうこう」などの病気が原因の場合もあります。気になる人は早めに泌尿器科へ相談に行くことをおすすめします。

「骨盤底筋」のたるみがおしっこトラブルの原因に
「骨盤底筋」のたるみがおしっこトラブルの原因に

 人類が二足歩行になったことと、頭部が大きくなったことで、骨盤の穴にずり落ちやすくなった内臓を支えているのが「骨盤底筋」。骨盤の底にハンモック状についていて、加齢によってたるんだり、出産などにより傷ついたりすると、おしっこトラブルの原因になることが。

「内臓リフトアップ」で
自覚症状が改善!

 股にピンポン玉がはさまったような違和感に悩まされていた高橋さんに、「内臓リフトアップ体操」を1か月間やってもらったところ、自覚症状に改善が見られました。実際、高橋さんのMRI画像を見ても、体操後は線で囲んだぼうこうの変形が改善。体操で骨盤底筋が張りを取り戻し、ぼうこうの位置が改善したと考えられます

高橋さんのMRI画像
高橋さんのMRI画像
高橋さん(仮名、60代)
高橋さん(仮名、60代)

内臓リフトアップ
体操のやり方

■ポイントは息を吐きながら、肛門をキュッと締める!

内臓リフトアップ体操のやり方
内臓リフトアップ体操のやり方

(1)まずは、動かす筋肉を意識する。動かすのは、おならをガマンするときに使う肛門の筋肉。

(2)全身の力を抜いてリラックスし、ゆっくり息を吸う。

(3)ゆっくり息を吐きながら、3秒間、意識したお尻の筋肉を「キュッ」と締め続ける。3秒たったら力を抜いてリラックス。

(1)~(3)を10回で1セットとして、1日2セット以上行う。いすに座った姿勢でも、あお向けに寝た姿勢でもOK。

注意
※骨盤底筋を鍛える体操には、回数や時間などが異なるやり方もあります。
※骨盤底筋の神経に障害がある人は、体操の効果が出ない可能性が。手術の必要がある場合もあるため、気になる人は泌尿器科へ相談してください。

■NHK『ガッテン!』今後の放送予定
総合テレビ毎週水曜午後7時30分~8時15分
総合テレビ毎週水曜午後3時08分~3時53分(再放送)

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※タイトルはすべて仮です。放送は変更になることがあります。

(監修/泌尿器科医師 嘉村康邦さん 実験協力/国際医療福祉大学三田病院医師 奥田逸子さん イラスト/栗生ゑゐこ)