一気に急接近した2人は順調にデートを重ね、2カ月後には同棲を開始。2年後には入籍を果たす。基本的には平穏な日常だったが、ともに暮らし始めて以降、澄佳さんは夫のお金の管理方法に違和感を覚えていた。共働きだった2人の財布はすべて一括化。管理するのは夫で、澄佳さんはそこからお小遣いをもらうという形だったが、夫婦の食費と澄佳さんのお小遣い込みで3万円だったという。
「食費はなんとか切り詰めていましたが、結構苦しかったですね。だって収入は、2人合わせて月に50万円以上あったはずなんですよ。残りの47万円、どこに行ってるの?と。後からわかったんですけど、実は夫は着々と独立資金を貯めていたみたいなんです」
出産後から女性の影がちらつくように
入籍後、すぐに第一子(男児)を妊娠した澄佳さんだったが、そんなタイミングで夫は脱サラを決行。澄佳さんの出産後すぐに、パーソナルトレーナーとしてトレーニングジムを開業した。驚いた澄佳さんだったが、自信満々の夫の行動に口出しすることはできなかった。開業後のドタバタの中、夫が子育てに参加することはほとんどなし。しかもその頃から、女性の影がちらつくようになった。
「相手は、夫のジムの宣材モデルを務めた女性でした。夫は私のことを完全になめきっていたので、家中に証拠を残すんですよね。ラブラブなメール画面を平然と開きっぱなしにしていたり、クリスマスの夜に、明らかにデートで訪れた高級レストランのレシートが机に置いてあったり……。もちろん衝撃は受けましたけど、子どももまだ小さいし、ちょっとした気の迷いだろうと割り切って、友達に愚痴を吐く程度にとどめました」
彼女との付き合いは程なくしてフェードアウトしたかのように見えた。第二子(女児)も授かり、家族での生活も安定してきたかに思えた頃。新しい女性の存在が浮上した。相手は、夫が開業当時に副業として講師を務めていたマッサージスクールの生徒だった女性だ。同窓会のような形で開催された飲み会から帰ってきた夫が、悪びれず澄佳さんに彼女の話題を切り出した。
「『久々にあったクラスの生徒から、トライアスロンに誘われたんだよね』と。興味があるから、これからグッズをそろえて本格的にやってみたい、という話でした。
何となく嫌な予感がした私は、その日以来、彼女のフェイスブックをチェックするようになりました。すると、夫と同じ場所に頻繁に出掛けている様子が見え始め、しまいには、海外の大会に出ると言って出掛けた夫と同じリゾートホテルのプールサイドで撮ったツーショットを公開していたんです。正直呆れました」
当てつけなのか、詰めが甘いのか。どちらにしろ、澄佳さんをなめきった態度に、むなしさと悔しさがこみ上げてきた。その後も、夫の放置したスマホのホーム画面には、性的関係を匂わせるメッセージが頻繁にポップアップして上がってくる。すべての証拠を写メに残しながらも、澄佳さんは黙認を続けた。
というのも、フェイスブックの彼女のステータスには「既婚」の文字があったのだ。互いに一時の火遊びだ、夫も家庭を捨てるまでの行動には出ないだろう。なぜか淡々と受け入れてしまう自分を、どこか客観的に眺めている澄佳さんがいた。しかし、事態は急展開を迎える。