――最終的に幼稚舎以外はどのような学校に出願されましたか?

「『伸芽会』の先生からのアドバイスもあり、複数の学校に出願しました。

 幼稚舎のほか、青学と都市大付属、あとは、国立を受験することにしました。結果、兄だけが幼稚舎に合格、妹は不合格、青学は逆で兄が不合格、妹が合格、そして都市大は双子で合格できました。

 双子の性格からして、兄の方がコツコツと頑張るタイプなので、将来なりたいと言っている医者になるために、医学部のない青学に進んだとしても、他大学の医学部や歯学部の受験はできるのではないかなと思ったり……。

 この結果を双子にどう伝えればええっちゅーねん! と、家族では大騒ぎになりました。双子で進学できる都市大にすべきか、もしくは国立を目指してもうひと頑張りするか……。とりあえずすべての学校に入学手続きを済ませ、国立に挑みました。

 朝早くから頑張って並んだんですが、筑波、竹早(※東京学芸大学附属竹早小学校)、お茶の水、すべて抽選で落選したんです

――難しい選択を迫られましたね。

「そうなんです。もう12月に入っていたので、幼稚舎に合格していると噂のあった幼稚園のお母様に思いきって、朝カフェにお誘いし、相談しました。

 すると“幼稚舎を蹴るなんてもったいないから、兄は幼稚舎、妹は青学に進学させるべきよ! 妹は中学でもう一回、慶應中等部や藤沢(※慶應義塾湘南藤沢中等部)を受けても良いんだし、だいたい幼稚舎を蹴る人なんて、世界中に一人もいないわよ!”と言われました。

 なんだか気持ちがスーっとして、ずっと一緒だった双子が、別の道を歩む良い機会にもなるととらえ、結局兄は幼稚舎、妹は青学に進学させました。

 ちなみに、これはあとになって聞いた話なのですが、なんと双子には双子の受験の仕方があるそうなんです。なんでも、幼稚舎も青学も国立も、実験的な意味合いで同性の双子、男女の双子は毎年一組ずつ合格させているそうで。

 そのため、その枠に入りたいならば、ほかにどんな双子がいるのかと、大手のお教室で積極的に情報を集めたり、月齢別の対策をするなど、もっともっと準備をしなくてはならなかったみたいなんです。

 入学したら、たしかに幼稚舎にも青学にも双子がいて、それも同性と男女の双子が一組ずつだったんです。あー、やり直したい! でも、双子がそれぞれの学校で楽しく過ごしているようですので、結果的には良かったと思っていますが

――入学後の生活はいかがですか?

小学校に入学後も、低学年のあいだは引き続き『シンガーズ』の学童にお世話になり、宿題をやらせてもらったり、塾機能も利用しておりました。私はけっして回し者ではございませんが、『リソー教育グループ』(※学習塾などを事業展開する企業体)のシステム、本当に素晴らしいですよ!

 入会金は一度払えば、兄弟やグループ内の教室は無料となるので、現在は同グループが運営する学習塾『TOMAS(トーマス)』や英語教室に通っています。長い夏休みや冬休みは泊まりのキャンプや合宿もあります。

 私立って休みに入るの早いじゃないですか。いろいろと仕事を調整したりしないといけないのですが、合宿に出せると、気にせず仕事にも集中できますので、楽させてもらえています」

取材を終えてーー

 経済的に余裕のある開業医のご家庭だからこそ、できる技だったとは思います。お受験を趣味の一環として、ゲーム感覚でやられていたんだなと感じました。

 お受験の形はいろいろです。このくらい力を抜いて、お受験を楽しまれる形もあるのだなと、お話を伺っていて感じました。決して、この方がされていたことは間違いではございません。

 ただ私は、任せっぱなしではなく、ご家庭で、家族の手のなかでコツコツ準備される方が良い結果を引き寄せられるものだと信じております。

<著者プロフィール>
いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、https://itoyuriko.studio.design