では、眼瞼下垂になると、どんな弊害が生じるのだろう?
「まずは、前が見えにくいという点が挙がりますね。ひどくなると、常にあごを上げていなければ、十分な視野が確保できなくなることも。
加えて、見た目の問題があります。目を開こうと眉やおでこを上げる筋肉(前頭筋)を酷使することで、ひたいに横ジワが寄ってしまいます。また、眉毛の位置が上がり、垂れた上まぶたとの間に距離ができると、顔が老けて見えてしまうんです。さらに、脂肪が目の奥に引き込まれますから、上まぶたにくぼみができます。
常に目やひたいのあたりに力を入れ、緊張させていることで、頭痛や肩こり、疲れやすいなどの症状も起こしやすくなりますね」
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手術の流れと失敗しないドクター選びのコツ
では、眼瞼下垂の疑いがみられたとき、気になるその治療法とは?
「手術ですね。腱膜がはずれているケース、つまり、もっともポピュラーな腱膜性眼瞼下垂では、まぶたを切開し、はずれた腱膜を瞼板に縫いつけて固定する手術を行います。まぶたの機能は正常でも、皮膚がたるむことで起こる偽眼瞼下垂では、垂れてしまった皮膚そのものを切除します」
心当たりがあった場合は、どの病院に行くべきなの?
「形成外科、眼科、美容外科のいずれかですね。手術は局所麻酔を用いて行い、1時間弱で終わります。術後2~3日は安静にし、激しい運動や飲酒は避けてください。血流が激しくなると、内出血などを起こすおそれがあるからです。大きな腫れは1~2週間ほどでひき、2~3か月もたてば、全体的になじんで落ち着きます。
クリニックでは日帰り手術が基本ですが、大きな病院ですと、2泊3日程度の短期入院で手術することもできます。手術後、血がにじんだガーゼを当てて帰宅することや、足元の見にくさを考えれば、高齢の方などは入院治療を考えてもいいかもしれません」
ところで、手術費用はいかほど?
「形成外科や眼科であれば基本的に健康保険がきき、3割負担の方でしたら、両眼で4万5000円ほど。ただし、美容外科では保険診療は受けられず、自費になります。
とはいえ、まぶたやひたいが重い、視界の狭さが気になる、などの自覚症状がなければ、無理に手術を受ける必要はありません」
上手な病院選びについてもお聞きしてみた。
「“いい病院を探す”というよりも、“いいドクターを選ぶ”という感覚を持ってください。形成外科でも、眼瞼下垂の手術をあまりやっていないドクターはいますし、まぶたではなく目が専門の眼科でも、手術経験が豊富なドクターもいます。手術するのは病院ではなく、人なのですから。
ドクターを見極める際には、ホームページなどに掲載の、年間手術件数を参考にするといいでしょう。ちなみに私の場合、年間150強ほどある手術のうち、半数は眼科の先生からの紹介ですが、残りの半分はインターネットで情報を調べての来院です」