4月から手術が保険適用外に
白内障手術は、眼球(角膜)の一部を切開し、白く硬くなったレンズを超音波で砕いて吸引し、直径6~7ミリの眼内レンズを入れる。手術時間は、15分程度で終わることが多い。
眼内レンズは、単焦点レンズと多焦点レンズの2種類に大きく分かれる。
単焦点レンズは1つの距離にピントを合わせる眼内レンズ。ピントを合わせたい距離をあらかじめ決めて手術。ピントを合わせた距離以外は、メガネでピントを調整する。
多焦点レンズは近くと遠くなどいくつかの距離にピントが合う眼内レンズ。手術後はメガネがほとんど不要になる。
「40代、50代は完璧な老眼ではないので、単焦点レンズだと、いきなり老眼が進んだように感じることや、メガネをかける必要のない生活を維持したい、と多焦点レンズを選ぶ方が多いです」
多焦点レンズは、先進医療のため医療保険の先進特約に組み込まれていたが、4月から制度が変わるため実費(保険外)になり、片目で30万~60万円の費用がかかる。
単焦点レンズは従来どおりの保険適用で変わらない。
「白内障の手術を検討している、あるいは医師からすすめられていて、多焦点レンズにする場合は、3月中に行ったほうがいいと思います。先進特約保険の加入を確認することと、手術前には生活スタイルや仕事などについて、きちんと相談でき、信頼できる医師であることが大切です」
矢藤さんは、多焦点レンズも魅力だったが、高額になることや年齢的にいずれ老眼鏡を使うことを念頭に、保険適用の単焦点レンズを選択した。
手術から2年。「両目とも1・2くらいの視力になり、よほど小さな字でない限り、パソコン、本、スマホの文字も老眼鏡不要。中学生からコンタクトのお世話になっていたので、快適そのものです」と矢藤さん。
加齢とともに直面する白内障だが、平松先生はアドバイスを送る。
「年に1回は検眼することをオススメします。見えていると思っていても、ちょっとずつ悪くなっていることに気づかない。自分の目の状態を知っておけば、決して怖がるような病気ではありません」
最近、目が疲れる、見えづらい、あるいは検眼をしたことがない─心当たりのある方は、予防のためにも眼科に足を運んでみては?
●白内障チェックリスト(平松類医師監修)
1.何となく見にくい気がする
2.テレビや映画の字幕が見にくい
3.離れた人の顔がわかりにくい
4.長時間の読書が疲れる
5.太陽の光がまぶしく感じることが多い
6.お月さまが2、3個に見えることがある
7.以前と色合いが違って見える
8.右目と左目で見え方が違う
9.階段の上り下りに不安を感じることがある
10.目がうっとうしく重いことがある
1・2個─白内障要注意
3・4個─白内障の可能性高い
5個以上─要病院受診
平松 類
ひらまつ・るい 延べ10万人以上の治療に携わる眼科専門医、医学博士。昭和大学兼任講師、二本松眼科病院勤務。メディア出演のほか『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる!ガボール・アイ』『その白内障手術、待った!受ける前に知っておくこと』など著書多数