――実際に入園されてみていかがでしたか?
「入園すると、話題は小学校受験の話になりました。娘は“毎日幼稚園の砂場で遊んだり、かけっこしてるだけで楽しい!”と言っているような状態でしたので、小学校受験に気持ちを切り替えることは積極的にできなかったのですが、とりあえず大手幼児教室に入会しました。
その後、お教室で知り合った男の子のお母様のご好意で、個人の先生をご紹介いただけたのですが、その先生とお話をすることで、お教室や幼稚園のママさんたちの情報が如何にいい加減なものだったかを知ることになり……」
――どういうことでしょうか?
「たとえばお教室では、“幼稚舎の試験は、運動や絵画が中心なので、ペーパーができなくても可能性がある”“学習院は関係者はもちろん強いが、できれば必ず受かります”などと言われ、あおるように各小学校の試験内容に合わせたさまざまな授業を取らせられるんです。
あるいは、聖心や白百合には一定の幼稚園とキリスト教信者が強いと言われ、信者になった人もいるほどです。お金がいくらあっても足りない状態で。しかし実際は、超名門校には縁故があったりペーパーが突出してできたりしない限り受かるはずもないんですよね」
――最終的にはどちらを受験されることに?
「いろいろな説明会に参加したり、個人の先生に家族のプロフィールや生活形態などもじっくりと密にお話をすることで志望校を絞っていき、第一志望に女子校の聖心、記念受験として共学の幼稚舎と学習院、そして立教女学院と東京女学館を受験することに決め、しっかりとペーパーを仕上げるなど準備を進めました。
結果としては、やはり幼稚舎は縁故がないとスタートラインにさえ立てないことを身をもって知り、聖心は補欠に入るもまわってくることはなく、立教女学院と東京女学館には合格することができました。
どちらに進学するか悩んだのですが、お教室で一緒だったご出身の方から、東京女学館は付属の大学も廃止になっているので、立教大学に進学可能な立教女学院をすすめられたんです。
私としても、バザーや学芸会などに見学に行った際、東京女学館は芸能人のご家庭や出身者のご家庭も多く華やかな雰囲気でしたが、場所柄ほとんどの生徒が渋谷からのバス通学となるので、地方出身者としては現在工事中の混乱した渋谷駅を通学拠点として使用することに心配もあり…‥。
教育内容は非常に魅力的ではございましたが、立教女学院に進学することにしました。穏やかで自由な雰囲気であり、キリスト教教育に軸がある立教女学院に非常に満足しております」
“入りたい学校”と“入れる学校”は決してイコールではないという真実があります。その上で、希望校と志望校をしっかり見据え、確実に入れる学校を抑えにいくという戦略で勝ち取った結果だと思います。
まさに“入れる学校”の1つ上の学校を目指して準備を怠らなかった、お母様のプロデュース力の結果です。マンションなどで発生する不要な人間関係や見栄の張り合いだけのママ友をしっかり断捨離し、不要な情報に振り回されず、ご家族が足並みを揃え、同じ目標に向かうことが何よりも大切な受験準備だと言えるでしょう。
<著者プロフィール>
いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、https://itoyuriko.studio.design