私は、佳恵さんに言いました。

「そうね。お断りしましょう。人の幸せを素直にお祝いできない、ご招待されたことに感謝できない。彼は、人に“ありがとう”と言えない人なんじゃないかしら。こんな男性と結婚したら、何かにつけてお金のことを言われて、生活も楽しくないですよ」

 お勤めの会社もしっかりしているし、年収もあるし、結婚するにはいい条件なのに40歳で初婚なのは、会話の中でお金の話ばかりして、そのセコさを女性に見透かされてしまうからなのでしょうね。

タダで印刷したことを自慢

 美加子さん(34歳、仮名)は、洋治さん(38歳、仮名)とお見合い後、お付き合いに入り、1か月が経ちました。3回ほどお会いしたようですが、お金に対する考え方がどうしても合わないと感じたようです。

 美加子さんが、私に言いました。

「お財布の中が、割引券やクーポン券やスタンプカードでいっぱいなんです。それを“セコイ”と嫌がる女性もいると思いますが、私はそこは別に気にならなかった。節約できるところはしたほうがいいし、同じ食事をするにしても、割引券やクーポン券を使ったり、スタンプカードも押してもらったりするほうが得だと思うので。ただ……」

 先日デートで、言い放った洋治さんの言葉にあさましさを感じだそうです。

 その日、洋治さんは、デートでいくお店の割引クーポン券を印刷したA4用紙を持ってきました。そして、それを見せながら言ったようです。

「これを今日は会社の印刷機で印刷してやったよ。会社のお金で(笑)。ウチは部署のみんなでお金を出し合ってコーヒーやお茶を買うんですけど、備品のコーヒーやお茶は1日に3杯以上は飲むようにしていて。同じお金を払っているのだから、せいぜい飲まないと損だから」

 会社の印刷機を私用で使ったり、みんなでお金を出し合って買っているお茶やコーヒーを誰よりもたくさん飲んだりすることを自慢げに言うのはどうなのだろうと。さらにこんな発言もありました。

「高い給料をもらっている人が得かというと、そうでもないと僕は思っていているんですよ。給料が高ければ、そのぶん、健康保険料や税金が高くなる。高い税金で年寄りや経済的弱者を救うような社会の仕組みなんだから、高収入を得るのも考えものですよね」

 美加子さんは、私に言いました。

「高収入を得ている人というのは、心にも余裕があって、自分の支払った保険料や税金がお年寄りや経済的弱者に使われていることは気にしていない。洋治さんは、何に対しても1円でも損をしたくないという考え方。心に余裕がないというか、人としての温かさを感じませんでした」

 こんな男性と結婚したら、妻が大病をして莫大な治療費がかかることになったら、あっさりと見捨てられそうです。