2月28日、シャープがマスク生産を始めると報じられた。誰もが“総合電機メーカーのシャープが、なぜマスク?”と思ったはず。 

「時期はお話しできませんが、経済産業省から、マスク生産の要請をいただきました。クリーンルームを持つ私どもであればできるのではないか、と」(広報部担当者、以下同)

 クリーンルームとは、温度や湿度を保ち、外部からのゴミが極力入らないよう室圧を制御した部屋のこと。

「中国で新型コロナウイルスが広まった際、親会社にあたる鴻海(ホンハイ)精密工業が、現地でマスク生産を検討し、2月に開始しています。なので、私どもにも不可能ではないだろう、と。シャープは、みなさまのおかげで今があり、私たちがマスクを作ることで社会貢献ができるのではないかと考え、決断しました」

 2月から社内での協議や調整が始まった。鴻海にマスク生産のノウハウやアドバイスを聞くこともできた。しかし、

マスクを作るのは初めて。新たな機械の導入など、非常に短期間で準備をしなくてはならず、苦労の連続でした」

 生産が三重工場に決まった理由は、

「液晶ディスプレーを作っている工場なのでクリーンルームがあるうえ、使用していないスペースもあったからです」