高血圧や喘息(ぜんそく)などの持病がある人は、新型コロナに感染すると重症化するリスクが高いといわれている。自覚していれば防衛策をとれるが、危険なのは“病気に気づいていない人”。糖尿病治療の第一人者、総合東京病院副院長、柴輝男先生は、こう話す。
「糖尿病(2型)は、自覚症状がない病気です。健康診断を受診する、もしくは糖尿病の検査を行わない限り判明しません。気づかずに普段の生活を続けてしまっている人は危険です!」
血糖値が高いと免疫が働きにくくなる
食事からとった糖質は、消化器官でブドウ糖に分解されインスリンという物質によって細胞内にとりこまれる。そのインスリンの分泌量が少なくなるのが糖尿病。血液中のブドウ糖の量を血糖値といい、診断の指標になっている。
「この血糖値が高いと、感染症が重症化しやすいことがわかっています」(柴先生 以下同)
なぜ、重症化しやすいのかというと、
「血糖値が高いということは、全身の体液中のブドウ糖が濃いということ。ブドウ糖は細菌のエサになります。エサが多くあれば、細菌の活動が活発になり、感染症が重症化してしまうのです」
コロナのようなウイルス性の感染症も同様だ。
「身体に細菌やウイルスなどの異物が侵入すると、免疫機能が働き、白血球が異物を攻撃します。しかし、血糖値が高いと白血球の働きが弱まり、免疫が働きにくくなってしまうのです」
血糖値が正常で健康であれば、ウイルスをやっつける力がある。しかし、血糖値が高いとその力が弱まってしまい、いくら免疫力を上げる生活を試みても意味がないというのだ。