暗闇の映画館で“刺身”を
《私には人生経験が必要だと思うから、やりたいことはたくさんあります。車の運転免許も取りますし、いろんな人の話を聞きたいから友だちと外でご飯を食べるようにもします。もう21歳になったのでお酒を飲むということも》
字面だけみると、グループを卒業する21歳になるまで飲酒したことがなかったとも読み取れる。アイドルの鑑である。そんな彼女が、国宝級イケメンの佐藤健と高級ホテルのような内装(なんとガラス張りの風呂付きの部屋もあるとか)のカラオケバーでテキーラ一気なんて……。芸能界の洗礼が過ぎて溺れてしまうて。
そんな“人生経験不足”を自称する彼女のもっとも凄まじいエピソードは、'13年に『アサヒ芸能』(5月2・9日号)でテリー伊藤と対談したときに繰り出された。
もともと大の映画好きで、時間に余裕ができるようになったアイドル卒業後は映画館で1日4~5本も鑑賞していると豪語。5作も続けて観て何が頭に残るのか、ってくらいハードスケジュールなわけだが、真に凄いのはここから。上映中、彼女が口にしたものはというと……。
《持ち込みOKなところでは持っていきますね。たまに、お刺身とか……》
──暗闇のなかで刺身て! 手元を照らし続ける爆破シーンの連続でもない限り、どのようにして醤油をつけるというだろうか。テリー伊藤は《エッ、》と驚きに包まれながらも、《お刺身だったら、食べてても音がしないもんなぁ》と苦しいフォロー。対し、あっちゃんは《そうなんです。ポップコーンとかよりも全然しませんよ(笑)》とご陽気だが、周囲の客は生臭さに包まれながら作品を楽しむことができたのだろうか。マナーの是非が問われるところだ。中学生の時分から芸能人だと、映画館すらまともに通えなかったのかと、ふと想像してしまう。経験不足は恋愛面でもそう。初カレとして報じられた尾上松也とうまくいかないときは、親友の柄本時生に“手紙を代筆”させたり、別の男性の家には深夜にタクシーでパジャマ姿のまま押しかけたり──そんな数々の悲哀が報じられてきた。
このように、AKB時代はプラスに捉えられ続けてきた「ちょっと変わっている」ところや「感情の起伏が激しい」性格が、ずっと修正されずにそのままでいたことが、良くも悪くも今の彼女のイメージを形成しているのではないだろうか。今回の勝地涼との別居に世間がそこまで衝撃を受けていなさそうだったのも、そういう側面を知ってのことかもしれない。