セカンドオピニオンは積極的に活用を
担当医からの意見である「ファーストオピニオン」だけでなく、別の医師の意見「セカンドオピニオン」を取り入れる動きも広まっている。
「医療を受けていると、疑問が出てくるのは当然です。ところが患者からすると『素人の私が疑問を感じていいのか?』という感情が湧くのも事実です。しかし患者にとって大きな問題は『医療を過信すること』です。だから疑ってもいいし、情報収集は自分でしてもいい。それが当たり前です。そのために第三者の意見を聞く、セカンドオピニオンは必ず受けるべきだと思います」
しかし「セカンドオピニオンを受けたいと言ったら、医者から叱られないか?」「へそを曲げられて適切な医療を受けられなくなるのでは?」と悩む方もいるかもしれませんが、それは心配する必要がないと室井さんは言います。
「セカンドオピニオンの目的は、担当医の意見を判断するため、第三者の意見をひとつの材料とすることです。転院するための行動ではありませんし、案外と医者はサバサバしているところもあって、仕事としてやっているという面もあるので、患者自身の中で割り切ることも大事です。それでも言い出すことに不安があれば家族など、第三者と一緒に話を聞いてみましょう」
責任は自分が取る。大事なあなたの命に関わることです。簡単に決めてしまわずに勇気を持って聞いてみてください。
《セカンドオピニオンの流れ》
1. ファーストオピニオンを十分に理解したうえで、セカンドオピニオンを受けることを決める。
2. セカンドオピニオン外来のある病院を探して決定、受けることを担当医に伝える。
3. 担当医に紹介状や診断結果をもらい、受診を予約。不安なこと、質問などを事前に整理しておく。
4. セカンドオピニオンを聞く。家族や友人などに付き添ってもらうと安心。
5. セカンドオピニオンで聞いた内容、それを踏まえたうえでどうするのか、担当医と相談する。
※国立がん研究センターHPより
(取材・文/成田全)
【PROFILE】
室井一辰先生 ◎東京大学農学部獣医課程卒。医療経済ジャーナリストとして、病院、企業、行政など医療にまつわる問題、欧米の最新事情などを取材、発信している。著書に『絶対に受けたくない無駄な医療』『世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術』など。