「安心だよ」と強調する医師は逆に不安
SNSやネットなどを利用して病院の情報を収集することもカモられないための第一歩だ。
「あんまりめちゃくちゃなことをしている医師は悪評が立っています。無駄な検査や入院が横行していれば、患者は行かなくなります。
病院にとってマイナスな情報や噂は口コミで広がりますから、そこから病院の信用を探るのもいいでしょう」
初めて受診する際には事前に電話や医院のホームページを利用して、病院の治療方針や入院について情報を得ることも大切だ。
入院費や治療費についても、あらかじめ目安を電話などで聞いて確認しておくのもいいだろう。
「医療分野はどんどん新しい知識が出てきていますので医師が新しい情報を積極的に取り入れようとしている姿勢も大切です。医師も情報収集を怠ると、最新の医療からおくれていきます」
だから昔からの経験を強調して診察、治療をしている病院も要注意かもしれない。
患者の質問に答えたり、相談に応じたり、医師の患者とのコミュニケーションのとり方も見ておきたい。
「いい病院は治療方針を患者さんと一緒に決めてくれるところですね。患者さんのサポートをして疑問に答えながら意思決定を助ける、という考え方をもっている医師は安心できます」
治療に際しては、患者にとってデメリットを伝えてくれるのも必要なこと。
「手術は危険と隣り合わせ。白内障の手術もでもなんらかの理由で大出血を起こし、失明させてしまうことはありえます。そのリスクを患者さんに伝えることも大切です。“安心だよ、安全だよ”と強調するところは、逆にリスク管理に不安も感じます。
悪いことも事前に想定し対策をとるのが大切。ですからそれも含め一緒に考えましょう、と言ってくれる病院が好ましい」
患者が手術をするかどうか決めかねているときに、無理に手術誘導するような病院もよくないという。
「手術や検査など、いい収入になる医療行為を無理に誘導していく動きはそもそも医療倫理に反しています。不安につけ込む病院がいちばんひどいです。
とはいえ患者さんの回復よりもお金儲けに心血を注ぐような病院はごくまれです」
これらのポイントをもとに、写真ページのチェックリストを参考にして、今通院している眼科をチェックしてみよう。
【PROFILE】
室井一辰 ◎むろい・いっしん 医療経済ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程卒業。医療専門メディアなどを中心に記事を執筆、業界を幅広く取材する。『絶対に受けたくない無駄な医療』(2014年日経BP)など著書も多数。https://isshinmuroi.com/