性格が強く似た者同士だった

 父親が亡くなってからは、親子ゲンカの歯止めがきかなくなったのだ。

「お母さんはヨウちゃんが幼いころからずっと精神科、カウンセラー、警察、養護施設、市役所などにしきりに相談に行っていました。子どものことに一生懸命でした」

 親子仲は濃密なようで、恋人ができたときにも、佐藤容疑者は母親にすぐに報告したという。

「パソコンが好きなのでネットで知り合ったのでしょうが、お母さんに写真を見せて、“この子と結婚する”と。お母さんが“あまりきれいじゃないわね”と言うと、“オレにはそのくらいが合っているんだ”と、応じたそうです。

 プロポーズするためにペアリングを買ったようですが、しばらくすると、“いらなくなった。お前が使え”と、お母さんにあげたようです」

 一方、トラブルになるときは、金の無心などささいなことが多かった。

「ヨウちゃんは心からお母さんが嫌いなわけではないんです。いなくなると“お母さんは来てる?”と心配して、うちに来ていましたから。顔も似ているし、お互いに性格が強い、似たもの同士がいつも一緒にいるから、ケンカになるんです」

 実は、月代さんはそんな日々のトラブルや心配事を克明に記したメモを手帳に残しているという─。

「殺そうと思って殺したのではないと思いますよ。だから、逃亡せずに救急車を呼んだのです。いまごろは後悔して、悲しんでいるはず」

 容疑者が母親のメモを見たら、その後悔や悲しみはさらに深まるのだろうか。